1. M&A手数料の全体像と費用相場
中小企業のM&A(株式譲渡・事業譲渡)で発生する費用は、大きく以下の3カテゴリに分かれます。
- アドバイザー手数料(仲介またはFA)— 売却額の3〜5%(レーマン方式)が中心
- デューデリジェンス(DD)費用— 買い手側が主に負担、財務・法務・ビジネス等で合計100万〜数千万円
- 付随費用— 弁護士費用、登記費用、税務申告費、表明保証保険料、印紙税等
譲渡価額1〜5億円規模の中小M&Aでは、売り手側で 総額1,500万〜3,000万円、買い手側で 総額1,800万〜4,000万円(DD費用含む)が概ねの相場です。これらは「成約に至った場合」の総額で、不成約の場合は着手金・月額報酬の負担に留まります。
「手数料の絶対額」ではなく「料金体系の透明性」を見るのが重要です。同じ譲渡価額でも、計算基準(株価か移動総資産か)、最低成功報酬の設定、テール条項の範囲によって、実際の支払額は2倍以上変わります。本ガイドでは、表面の%だけでなく、契約書を読み解くポイントまで解説します。
2. 料金体系の3パターン(仲介/FA/プラットフォーム)
パターンA: M&A仲介(双方代理型)
売り手と買い手の双方の間に立ち、マッチングと交渉を仲介する形式。日本の中小M&A市場の主流で、M&Aキャピタルパートナーズ・日本M&Aセンター・ストライク・fundbook・M&A総合研究所などの上場仲介会社が代表的です。
- 手数料負担: 売り手・買い手の双方から成功報酬を受領(両手取引)
- 料率の傾向: 株価レーマン方式が中心、最低成功報酬2,000万円前後(税抜)
- メリット: 案件マッチングの幅が広い、成約までのスピードが速い
- 注意点: 双方代理による利益相反リスク(2024年改訂ガイドラインで規律強化)
パターンB: FA(ファイナンシャル・アドバイザー / 片側代理型)
売り手 または 買い手の一方の代理人として、依頼者の利益最大化を専属で支援する形式。証券会社系・銀行系・独立系FA・外資系投資銀行などが提供します。
- 手数料負担: 依頼者の一方のみが支払う(双方代理は原則発生せず)
- 料率の傾向: 月額報酬50〜200万円/月+成功報酬(レーマン方式)。料率水準は仲介と同等以上
- メリット: 利益相反のない交渉、依頼者の利益最大化に注力
- 注意点: 単純な料金比較では仲介より高めになる傾向
パターンC: M&Aプラットフォーム(マッチング型)
BATONZ・TRANBI・M&Aサクシード等のオンラインプラットフォームで、売り手が案件情報を掲載し、買い手から直接または専門家経由でアプローチを受ける形式。スモールM&A(譲渡価額1億円以下)の主戦場。
- 手数料負担: 売り手の掲載料は無料〜月数千円、買い手の成功報酬は2〜5%程度(プラットフォーム取り分)
- メリット: 譲渡価額1,000万円台の小規模案件にも対応、コスト低
- 注意点: 当事者主導で交渉が進むため、契約・税務リスクは自己責任になりがち
3. 手数料の5つの構成要素
| 構成要素 |
発生タイミング |
相場(中小M&A) |
不成約時の扱い |
着手金 (リテーナーフィー) |
業務委託契約締結時 |
0〜300万円(規模次第) 大手仲介は無料化トレンド |
返金されないのが一般的 |
月額報酬 (マンスリー・リテーナー) |
契約期間中 毎月 |
0〜100万円/月 FAは月額制が中心、 仲介は廃止トレンド |
業務期間分は発生 |
中間報酬 (マイルストーン・フィー) |
基本合意書(LOI)締結時 |
成功報酬の10〜20% または定額100〜500万円 (完全成功報酬制では無料) |
不成約でも返金されない |
成功報酬 (サクセス・フィー) |
最終契約・クロージング時 |
レーマン方式 (譲渡価額の1〜5%) |
不成約なら発生せず |
| 実費 |
都度発生 |
出張費・登記費等 |
支出済み分は精算 |
従来は「着手金+月額+中間+成功」のフルセットが主流でしたが、2020年代以降は 「完全成功報酬制」(着手金・月額・中間ゼロ、成功報酬のみ)が広がっています。経営者の心理的負担を下げる効果がある一方、後述するように最低成功報酬の設定により小規模案件では割高になる場合があります。
4. レーマン方式 完全解説(早見表・計算例付き)
レーマン方式(Lehman Formula)は、米国のリーマン・ブラザーズ社が考案したとされる成功報酬の段階制計算方法で、日本のM&A仲介・FA業界の標準的な料率体系です。取引金額を一定の階層に区切り、それぞれの階層に異なる料率を乗じて合算します。
標準的なレーマン方式の料率(5階層)
| 取引金額の階層 | 料率 | 当該階層の最大手数料 |
| 5億円以下の部分 | 5% | 2,500万円 |
| 5億円超〜10億円の部分 | 4% | 2,000万円 |
| 10億円超〜50億円の部分 | 3% | 1億2,000万円 |
| 50億円超〜100億円の部分 | 2% | 1億円 |
| 100億円超の部分 | 1% | — |
計算例1: 取引金額3億円の場合
CALCULATION — 取引金額 3億円
3億円 × 5% =
1,500万円
成功報酬: 1,500万円(税抜)
※ ただし最低成功報酬の設定によっては、これより高い金額が請求される場合があります(後述)。
計算例2: 取引金額10億円の場合
CALCULATION — 取引金額 10億円
5億円 × 5% = 2,500万円
5億円 × 4% = 2,000万円
合計 =
4,500万円
成功報酬: 4,500万円(税抜)
計算例3: 取引金額50億円の場合
CALCULATION — 取引金額 50億円
5億円 × 5% = 2,500万円
5億円 × 4% = 2,000万円
40億円 × 3% = 1億2,000万円
合計 =
1億6,500万円
成功報酬: 1億6,500万円(税抜)
よくある誤解: 「50億円なら2%だから1億円」と単純計算する人がいますが、レーマン方式では 50億円すべてに2%を乗じるのではなく、各階層に応じた料率を別々に乗じて合算 します。50億円の正しい計算結果は1億6,500万円で、フラット計算と6,500万円の差が出ます。
5. 計算基準の3種類(株価/企業価値/移動総資産)
レーマン方式の「取引金額」の定義は、M&A仲介各社によって 3種類のいずれか が採用されます。同じ案件でも基準により手数料が2〜3倍変わる重要論点です。
| 基準 | 定義 | 売り手にとっての有利/不利 |
① 株価ベース (株式譲渡対価) |
譲渡対象株式の価格のみ |
最も有利(手数料が最小) |
② 企業価値ベース (EV) |
株価 + 有利子負債 |
中間 |
| ③ 移動総資産ベース |
株価 + 負債総額(買掛金等含む) |
最も不利(手数料が最大) |
同一案件での手数料比較例
譲渡対価(株価)3億円、有利子負債2億円、買掛金等その他負債3億円の中小製造業を売却する場合:
| 基準 | 取引金額 | レーマン方式の計算 | 成功報酬 |
| 株価ベース |
3億円 |
3億 × 5% |
1,500万円 |
| 企業価値ベース |
5億円 |
5億 × 5% |
2,500万円 |
| 移動総資産ベース |
8億円 |
5億 × 5% + 3億 × 4% |
3,700万円 |
このように、同一案件で 株価ベースと移動総資産ベースの差は2.5倍 に達することがあります。負債を多く抱える企業ほど、移動総資産ベースは大きな影響を受ける 点に注意が必要です。
中小企業庁の 中小M&Aガイドライン第3版(2024年8月改訂)では、計算基準の事前明示と説明義務が支援機関の遵守事項として明記されており、契約締結前に必ずどの基準を採用するか確認する必要があります。
6. 中小M&A仲介の料金相場(業界全体)
個社の料金は各社の見積もりで確認するのが原則です。本節では、業界全体として一般的に観測される料金相場と、上場系M&A仲介各社の公開情報を整理します。
業界相場レンジ(中小M&A仲介の一般傾向)
| 項目 |
業界相場レンジ |
備考 |
| 着手金 |
0〜300万円 |
上場系・大手は無料化トレンド。 規模により有料の場合は会社規模に応じて段階設定 |
| 月額報酬 |
0〜100万円/月 |
仲介は廃止トレンド。 FA(片側代理)では月額制が中心 |
| 中間報酬 |
成功報酬の10〜20% または定額100〜500万円 |
基本合意(LOI)時に発生。 完全成功報酬制では無料 |
| 成功報酬料率 |
レーマン方式 (譲渡価額の1〜5%) |
5億・10億・50億・100億で段階制(5/4/3/2/1%) |
| 最低成功報酬 |
税抜 1,000〜2,500万円 (税込 1,100〜2,750万円) |
譲渡価額が小さい案件で実効料率が割高になる原因。 各社により設定額が異なるため見積もりで確認必須 |
| 計算基準 |
株価/企業価値/ 移動総資産のいずれか |
各社により採用方式が異なる。 中小M&Aガイドライン第3版で事前明示が義務化 |
※ 上表は2026年5月時点の業界一般情報の整理で、個別社の料金体系を表すものではありません。実際の契約検討時は、必ず各社から最新の見積書および料金体系の説明資料を取得してください(中小M&Aガイドライン第3版の遵守事項)。
主要な上場系M&A仲介(公開情報の整理)
中小M&A市場の代表的な仲介プレイヤーには、以下のような上場系の企業があります。料金体系は各社で異なり、随時改定もされているため、具体的な料率・金額は各社の最新の公式情報および直接の見積もりで確認してください。
- M&Aキャピタルパートナーズ — 上場M&A仲介の代表格。着手金無料・株価レーマン方式を公式に訴求。詳細は 公式 料金体系ページ を参照
- 日本M&Aセンターホールディングス — 業界最大手。提携税理士・会計事務所ネットワークの厚みを訴求。詳細は 公式 料金体系ページ を参照
- ストライク — 独立系上場仲介。着手金・月額報酬0円を公式に訴求
- M&A総合研究所 — DX・AI活用型仲介を訴求、完全成功報酬制を主要訴求(上場親会社は2026年1月にクオンツ総研ホールディングスへ商号変更)
- fundbook — AI・データ活用型のマッチングを訴求する独立系仲介
このほか、地域金融機関系のM&Aブティック、外資系を含む独立系FA、士業(会計事務所・税理士法人)系M&Aアドバイザー、業種特化型M&Aコンサル等、多様な選択肢が存在します。各カテゴリの強み弱みは 事業承継・M&Aの相談先 完全比較 でも整理しています。
計算基準の差が手数料に与える影響
計算基準(株価/企業価値/移動総資産)は仲介各社で異なります。前節5の試算例で見たように、株価3億円・負債総額5億円の案件では、株価ベースなら1,500万円、移動総資産ベースなら3,700万円程度と、計算基準だけで手数料が2倍以上変わる ことがあります。
加えて、譲渡価額が小さい案件では 最低成功報酬の影響 で、レーマン方式での試算より実際の支払額が大きくなる場合があります。譲渡価額1〜2億円程度の小規模案件では、レーマン方式の試算(500〜1,000万円程度)よりも、最低成功報酬の設定額(税抜1,000〜2,500万円)がそのまま手数料となり、実効料率が10〜20%にまで上昇するケースがあるため、特に注意が必要です。
7. 完全成功報酬制のメリット・落とし穴
完全成功報酬制は着手金・月額・中間報酬がすべて無料で、成約時の成功報酬のみが発生する方式。経営者の初期費用負担をゼロにできることから2010年代後半以降に急速に広がりました。
完全成功報酬制のメリット
- 不成約リスクを仲介・FA側が負うため、依頼者の心理的・財務的負担が軽い
- 仲介・FA側が「成約優先」のインセンティブを持つため、進行が速くなる傾向
- 譲渡価額が3億円以上の中堅案件では、フルセット型より総額が安くなることが多い
完全成功報酬制の落とし穴
- 最低成功報酬の存在: 完全成功報酬制でも「最低成功報酬2,000万〜2,500万円(税抜)」が設定されているケースが大半。譲渡価額が1〜2億円程度の小規模案件では、レーマン方式での試算より高い金額が請求される
- レーマン基準のすり替え: 「完全成功報酬」を訴求しつつ、計算基準は移動総資産ベース(手数料割高)のケースがある
- 成約優先のバイアス: 仲介側が成約を急ぐあまり、売り手の希望条件を妥協しがちな構造リスク
譲渡価額1〜2億円の小規模案件では、完全成功報酬制が必ずしも有利ではありません。例えば最低成功報酬が税抜2,000万円(税込2,200万円)に設定されている仲介に依頼すると、1億円の案件でもその金額が請求され、料率にすると 実質20%超 という極めて高い水準になります。小規模案件は、M&Aプラットフォームや、より柔軟な料金設計のブティック型FAも比較検討すべきです。
8. DD等のその他費用(買い手側コスト)
買い手側は仲介・FA手数料に加えて、デューデリジェンス(DD)費用を負担します。中小M&Aで実施される代表的なDDと費用相場は以下の通りです。
| DDの種類 | 実施者 | 調査内容 | 費用相場 | 期間 |
財務DD (FDD) | 会計士・税理士 | 実態純資産・正常収益力・簿外債務・税務リスク | 100〜500万円 | 2〜4週間 |
法務DD (LDD) | 弁護士 | 契約関係・許認可・係争・株主関係・労務リスク | 100〜500万円 | 2〜4週間 |
ビジネスDD (BDD) | 戦略コンサル・M&Aアドバイザー | 事業・市場・競合・KSF・成長性・PMIリスク | 200〜1,000万円 | 3〜6週間 |
| ITDD | IT専門コンサル | システム構成・運用体制・サイバーリスク・知的財産 | 100〜500万円 | 2〜4週間 |
| 労務DD | 社労士・弁護士 | 未払残業代・社会保険・労使トラブル | 50〜200万円 | 2〜3週間 |
| 環境DD | 環境専門会社 | 土壌・水質・排出物リスク(工場・倉庫案件) | 100〜500万円 | 3〜8週間 |
譲渡価額1〜5億円規模の中小M&Aでは、財務DD+法務DDが必須、ビジネスDDは案件規模に応じて、ITDD・労務DD・環境DDは業種・買い手の方針に応じて実施するのが一般的です。総額300万〜2,000万円程度を見込んでおくと安全です。詳細は DD・PMI支援ページ で実務的なポイントを解説しています。
9. 事業承継・M&A補助金で手数料を軽減
中小企業庁が運営する 事業承継・M&A補助金(旧 事業承継・引継ぎ補助金)の「専門家活用枠」は、M&A実務に伴う専門家費用(仲介手数料・FA費用・DD費用・セカンドオピニオン費用・表明保証保険料等)の一部を補助します。
2026年(14次公募・令和7年度)の補助内容
| 類型 | 補助上限 | 補助率 | 特例上限 |
| 売り手支援類型 |
600万円 (廃業併用 +300万円) |
1/2 (赤字・営業利益率低下時 2/3) |
— |
| 買い手支援類型 |
600万円 (DD実施 +200万円 / 廃業併用 +300万円) |
2/3 |
譲渡価額5億円以上+ 売上高100億円宣言で 最大2,000万円 |
| 廃業・再チャレンジ枠 |
150万円 |
2/3 |
— |
出典: 中小企業庁「事業承継・M&A補助金」14次公募要領(2026年公表分)。最新の公募回・要件は 公式サイト でご確認ください。
申請の要件・流れ
- 認定M&A支援機関の関与: M&A支援機関登録制度に登録された仲介・FAを利用することが要件
- 事業計画書の作成: 補助金の活用目的・M&A後の事業展望を明示
- 公募期間内の電子申請: jGrants等で書類提出
- 採択後の交付申請: 採択通知後に詳細な交付申請手続き
- 事業実施・実績報告: 補助対象期間内に専門家活用を実施・領収書を保管
申請から採択までに2〜3ヶ月、採択から補助金入金までに6〜10ヶ月程度の期間を要します。M&Aの初期段階から補助金活用を前提に進めることが重要です。
10. 中小M&Aガイドライン(2024年8月改訂)の影響
中小企業庁は2024年8月、中小M&Aガイドライン(第3版)を公表しました。M&A仲介・FAの増加に伴い顕在化した利益相反・過剰営業・経営者保証トラブル等を踏まえ、支援機関の遵守事項が大幅に強化されています。手数料に直結する主要ポイントは以下の通りです。
① 手数料・提供業務の事前明示
支援機関は契約締結前に 料金体系・計算基準・提供業務範囲 を文書で説明することが求められます。「成約後に思っていた額より大きく請求された」というトラブルを防止する規律です。
② 計算基準の明示義務
レーマン方式の 計算基準(株価/企業価値/移動総資産) を契約前に明示・説明することが遵守事項となりました。
③ テール条項の合理的範囲への限定
テール条項(契約終了後の成功報酬請求権)は、契約期間中に提示した買い手候補のみを対象 とし、期間も 合理的な範囲(実務的には契約終了後概ね2〜3年以内が目安)に限定することが明示されました。過去には期間が5〜10年と長期に設定される事例が指摘されていましたが、現在は短縮化が進んでいます。
④ 利益相反・双方代理時の規律
仲介の双方代理(売り手・買い手の双方を支援)には固有の利益相反リスクがあるため、当事者双方への利益相反説明と書面同意 が強化されました。FAは原則として片側代理のみとされています。
⑤ 経営者保証ガイドラインの適用
M&Aを通じた 売り手経営者の個人保証解除 について、支援機関は金融機関との調整・最終契約への明記等の対応を行うことが求められます。「譲渡後も売り手の個人保証が残ったまま」というトラブルを防止します。
⑥ 不適切な広告・営業の禁止
過剰な高値売却の訴求、無料相談を口実とした強引な勧誘、虚偽の実績広告等が禁止事項として明示されています。M&A仲介を選定する際は、これらガイドライン遵守状況の確認が推奨されます。
11. 手数料を抑える7つのチェックポイント
M&A手数料を合理的な水準で抑えるために、契約締結前に以下7点を確認することを推奨します。
- 計算基準を確認する — 株価/企業価値/移動総資産のどれを採用するか。負債が多い会社は株価ベースが有利
- 最低成功報酬の水準を確認する — 譲渡価額が小さい案件では最低成功報酬がそのまま手数料になるため、レーマン方式での試算より高くないか
- 中間報酬の有無と返金条件 — 基本合意後にM&Aが破談になった場合の中間報酬の返金有無
- テール条項の期間・範囲 — 契約終了後の期間(2〜3年が合理的範囲)、対象(契約期間中提示の買い手のみが望ましい)
- 双方代理/片側代理の選択 — 利益相反を避けたい場合はFA(片側代理)を選択
- 事業承継・M&A補助金の活用 — 認定M&A支援機関の登録有無、補助金申請サポートの可否
- 2社以上から見積取得 — 同じ案件でも仲介各社で料金体系が異なるため、必ず複数社から見積を取り比較
「無料相談」をフックにすぐ専属契約を結ばないこと。初回相談から専属契約までは原則 1〜2週間以上 の検討期間を確保し、料金体系・支援内容・実績を比較する時間を持つことが、適正な手数料での着地に直結します。
12. 当社(KI Strategy)の料金方針
本サイト「事業承継M&A調査君(chosakun.com)」を運営する 株式会社KI Strategy は、買い手側・売り手側のM&Aアドバイザリー、DD(BDD/ITDD)、PMI、IM作成、セカンドオピニオンを提供しています。料金については以下の方針で運用しています。
- 案件規模・支援範囲に応じた個別見積: 一律のレーマン料率ではなく、支援内容を精査した上で個別お見積りをご提示
- 計算基準は株価ベースが原則: 売り手の実際の手取りに連動する基準を採用
- 事業承継・M&A補助金の申請サポート: 認定M&A支援機関として、補助金活用を前提とした費用設計
- FA(片側代理)が原則: 利益相反を避けるため、売り手側または買い手側の専属代理を基本
- セカンドオピニオン対応: 他社で提示された手数料体系の妥当性検証も対応
初回ご相談は無料、秘密厳守、全国対応です。中小M&Aガイドライン(第3版)の遵守事項に沿った契約締結を徹底しています。
13. よくある質問(FAQ)
Q.M&A仲介の手数料はいくらかかりますか?
中小M&Aの仲介手数料は「着手金(0〜300万円程度)+月額報酬(0〜100万円/月)+中間報酬(成功報酬の10〜20%)+成功報酬(レーマン方式で譲渡価額の1〜5%)」の組み合わせです。完全成功報酬制の会社では着手金・月額・中間報酬がゼロのケースもありますが、最低成功報酬として2,000万円前後(税抜)が設定されている場合が多く、譲渡価額が小さい案件ではむしろ料率が割高になる点に注意が必要です。
Q.レーマン方式の計算方法は?
レーマン方式は、取引金額を5億円・10億円・50億円・100億円で区切り、それぞれの区分に5%・4%・3%・2%・1%の料率を乗じて合算する段階制の計算方法です。例えば取引金額10億円なら「5億円×5%+5億円×4%=4,500万円」、20億円なら「5億円×5%+5億円×4%+10億円×3%=7,500万円」となります。取引金額×料率の単純計算ではない点に注意が必要です。
Q.株価レーマン方式と移動総資産レーマン方式の違いは?
レーマン方式の「取引金額」の定義により手数料に大きな差が出ます。株価ベース(株式譲渡対価のみ)が最も売り手有利、企業価値ベース(株価+有利子負債)が中間、移動総資産ベース(株価+負債総額)が最も売り手不利となります。負債が多い会社では、移動総資産方式は株価方式の2〜3倍の手数料になることもあるため、契約前に必ずどの基準を採用するか確認が必要です。中小M&Aガイドライン(2024年8月改訂版)では、計算基準の事前明示が支援機関の遵守事項として明記されています。
Q.M&A仲介とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)はどちらが安いですか?
単純な手数料比較ではFAの方が高くなる傾向(月額制が中心、成功報酬料率もレーマン方式が同水準以上)にありますが、FAは「売り手側のみ」「買い手側のみ」の片側代理が原則で、利益相反リスクが低いという利点があります。中小M&Aでは仲介の方が一般的ですが、譲渡価額が高い案件、複雑な交渉が想定される案件、双方代理を避けたい案件ではFA起用が推奨されます。
Q.M&A手数料は事業承継・M&A補助金で軽減できますか?
はい、中小企業庁の事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)を活用すれば、仲介手数料・FA費用・DD費用・セカンドオピニオン費用・表明保証保険料等の一部を補助できます。売り手支援類型は上限600万円(補助率1/2、赤字等の場合2/3)、買い手支援類型は上限600万円(DD実施で+200万円、補助率2/3)。譲渡価額5億円以上で「売上高100億円宣言」を行う買い手は最大2,000万円の特例上限が適用されます。申請には認定M&A支援機関の関与が必要です。
Q.完全成功報酬制のM&A仲介はお得ですか?
案件規模により判断が分かれます。譲渡価額が5億円以上の中堅案件では完全成功報酬制が経営者の心理的負担が少なく有利な場合が多い一方、譲渡価額が1〜2億円程度の小規模案件では、最低成功報酬(2,000万円前後)がそのまま手数料になり、レーマン方式での試算より割高になることがあります。最低成功報酬の水準と、その下限を下回る案件をどう扱うかを事前に確認することが必須です。
Q.M&A手数料の他に発生する費用は何ですか?
仲介・FA手数料以外に、①デューデリジェンス費用(財務DD 100〜300万円、法務DD 100〜500万円、ビジネスDD 200〜1,000万円程度、案件規模・複雑性により大幅変動)、②弁護士・司法書士・税理士費用(最終契約書レビュー、株式譲渡登記、税務申告)、③表明保証保険料(任意・譲渡価額の1〜3%)、④印紙税(株式譲渡契約書は不課税、事業譲渡契約書は4万円〜)、⑤クロージング後のPMI(経営統合)支援費用、が代表的です。買い手側に発生するDDコストの多くは、補助金の対象となります。
Q.中小M&Aガイドライン(2024年改訂)はどう手数料に影響しますか?
中小企業庁が2024年8月に改訂した「中小M&Aガイドライン(第3版)」では、(1)手数料・提供業務の事前明示、(2)レーマン方式の計算基準(株価・企業価値・移動総資産)の説明義務、(3)テール条項(契約終了後の成功報酬請求権)の合理的範囲(通常2〜3年)への限定、(4)利益相反禁止と双方代理時の説明強化、(5)経営者保証ガイドライン適用、等が明示されました。仲介・FAを選ぶ際は、これらガイドライン遵守状況を確認することが推奨されます。
Q.テール条項とは何ですか?注意点は?
テール条項とは、仲介・FA契約終了後も一定期間内に成約した場合に成功報酬請求権が残る条項です。仲介会社が紹介した買い手と、契約終了後に直接成約した場合の「フリーライド防止」が目的ですが、過去には期間が5年・10年と長期に設定され売り手不利となるケースが指摘されてきました。中小M&Aガイドライン(2024年改訂)では、対象を「契約期間中に提示した買い手候補のみ」、期間も「契約終了後概ね2〜3年以内」が合理的範囲とされています。契約締結前に必ずテール条項の内容を確認しましょう。
Q.買い手側のM&A手数料はいくら?
買い手側も売り手側と同じくレーマン方式が一般的で、料率水準もほぼ同等です(仲介の場合、双方から手数料を受け取る「両手取引」)。FAを起用する場合は買い手専属となり、月額報酬50〜200万円/月+成功報酬(レーマン方式)が標準です。買い手側には別途、財務DD・法務DD・ビジネスDD・ITDD等のデューデリジェンス費用(合計300万円〜数千万円)が発生します。事業承継・M&A補助金の買い手支援類型は補助率2/3でこれらを補助対象とでき、DD実施時は上限200万円が加算されます。
監修
今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)
早稲田大学政治経済学部卒。野村総合研究所を経て、2016年に株式会社KI Strategyを設立。M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス(BDD/ITDD)、PMI支援を専門とする。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。
プロフィール詳細 →