GLOSSARY · 株式関連用語

株式・株主 用語集 — 17語を実務例付きで解説


M&A・事業承継で頻出する株式・株主関連の用語を整理します。会社法上の手続きについては株式譲渡の流れもご参照ください。

最終更新: 2026-05-13 / 監修: 今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)

譲渡制限株式

じょうとせいげんかぶしき / Transfer-restricted Shares

譲渡に会社の承認を要する株式(会社法107条1項1号、108条1項4号)。中小企業の大半は定款で全株式に譲渡制限を定めており、株式譲渡には取締役会(取締役会設置会社)または株主総会(取締役会非設置会社)の承認が必要となる(会社法139条)。

「譲渡制限会社の株式譲渡では、取締役会の譲渡承認決議が必須」。

譲渡承認

じょうとしょうにん

譲渡制限株式の譲渡に必要な会社の承認手続き(会社法136条以下)。株主または取得者が会社に対し譲渡承認請求を行い、取締役会または株主総会で承認決議の上、譲渡承認通知書を交付する。会社が承認しない場合は、会社または指定買取人が買い取る選択肢がある(会社法140条)。

「株式譲渡承認請求書を会社に提出、取締役会承認後に譲渡完了」。

種類株式

しゅるいかぶしき / Classes of Shares

普通株式と異なる権利を持つ株式(会社法108条)。議決権制限株式、配当優先株式、譲渡制限株式、取得請求権付株式、取得条項付株式、全部取得条項付株式、拒否権付株式(黄金株)、役員選任権付株式の9種類が定められている。事業承継・資本政策で活用される。

「議決権制限株式を発行し、後継者へ集中的に経営権を承継」。

拒否権付株式(黄金株)

おうごんかぶ / Golden Share

株主総会の特定決議事項について拒否権を持つ種類株式。事業承継で、創業者が経営権を移譲しつつ重要事項(解散・合併等)に対する拒否権を保持するスキームとして用いられる。

「創業者に黄金株を1株割当て、後継者の暴走を抑制する仕組みを構築」。

配当優先株式

はいとうゆうせんかぶしき / Preferred Stock

普通株式に優先して配当を受ける権利を持つ種類株式。代わりに議決権を制限する設計が一般的(議決権制限・配当優先株式)。事業承継で、後継者には普通株式を集中させ、他の親族には議決権制限・配当優先株式を割り当てるスキームで活用される。

「親族に議決権制限・配当優先株式を割当、後継者の経営権を確保」。

株主名簿

かぶぬしめいぼ

会社が備える、株主の氏名・住所・保有株式数等を記載する帳簿(会社法121条)。株主名簿の記載が、株主としての権利を会社に対抗する基礎となる(会社法130条)。中小企業では更新が遅れ、実態と乖離しているケースが頻発する。

「M&A前に株主名簿を最新の実態に合わせて整備」。

名義書換

めいぎかきかえ / Transfer Registration

株式譲渡に伴う株主名簿の書換手続き(会社法130条・133条)。譲渡人・譲受人の連名で会社に請求し、会社が株主名簿の記載を更新する。これにより、譲受人は配当・議決権等の株主権を会社に対抗できるようになる。M&Aクロージング時の最重要手続きの一つ。

「クロージング当日に株主名簿書換請求書を会社に提出、名義書換完了」。

株主名簿記載事項証明書

かぶぬしめいぼきさいじこうしょうめいしょ

株券不発行会社で、株主であることを証明する書面(会社法122条)。会社が株主の請求に応じて交付する。M&Aで株式を取得した譲受人が、株主としての地位を第三者に対して証明する手段として用いられる。

「株券不発行会社で、株主名簿記載事項証明書を取得して株式取得を証明」。

議決権

ぎけつけん / Voting Rights

株主が株主総会で行使する決議参加権。原則として1株1議決権だが、種類株式の設計により議決権制限・複数議決権等を付与できる。M&A・事業承継では、議決権の集中が経営権の所在を決定する。

「議決権の3分の2以上を後継者に集中、特別決議事項を単独で可決可能に」。

少数株主

しょうすうかぶぬし / Minority Shareholders

議決権の少ない株主。一般に保有割合5%以下を指すことが多い。会社法上、一定の権利(株主代表訴訟提起権・帳簿閲覧権・株主提案権等)が保証されている。M&A完全子会社化を目指す買い手にとって、少数株主の存在は意思決定の障害となる。

「少数株主の存在が完全子会社化の障害となるため、スクイーズアウトを検討」。

スクイーズアウト

すくいーずあうと / Squeeze-out

少数株主の保有株式を強制的に取得し、完全子会社化を実現する手法。会社法179条の特別支配株主の株式等売渡請求(議決権90%以上保有時)または株式併合(株主総会特別決議で実施)の2手法が実務的に定着。買付け価格は裁判所での価格決定申立てによる調整が可能。

「TOB後に保有割合90%超を確保し、株式等売渡請求でスクイーズアウト」。

特別支配株主の株式等売渡請求

とくべつしはいかぶぬしのかぶしきとううりわたしせいきゅう

議決権の90%以上を保有する特別支配株主が、他の株主に対して株式の売渡を強制請求できる制度(会社法179条以下)。株主総会決議不要で実施でき、TOB後の二段階目スクイーズアウトの主要手段。平成26年会社法改正で導入。

「TOB後に90%超を確保し、株式等売渡請求でスクイーズアウト完了」。

株式併合

かぶしきへいごう / Reverse Stock Split

複数株を1株にまとめる手続き(会社法180条)。スクイーズアウトの手段として用いられる場合、少数株主の保有株式が端株となるよう設計し、端株を競売または会社買取で現金化する。株主総会の特別決議が必要。

「90%取得に至らなかったため、株式併合でスクイーズアウトを実施」。

端株(端数株式)

はかぶ

株式併合等の結果として1株に満たない端数となった株式。会社法上、端株は競売または任意売却(会社が買取)で現金化される。スクイーズアウトの株式併合方式で、少数株主は端株となり現金で締め出される。

「株式併合で少数株主の株式が端株化、会社が買取で現金化」。

自己株式

じこかぶしき / Treasury Stock

会社が保有する自社株式(会社法155条以下)。事業承継で株式の集約手段として活用される。取得時にはみなし配当課税が発生する場合がある。議決権は行使できず、配当も支払われない。

「少数株主からの自己株式取得で株式を集約、事業承継の準備を完了」。

株式分割

かぶしきぶんかつ / Stock Split

既存株式を複数株に分割する手続き(会社法183条)。1株あたりの株価が下がり流通性が高まる効果がある。事業承継・M&A前の準備として、株式の小口化・流通性向上のために用いられることがある。

「事業承継準備として1株を10株に分割、譲渡時の柔軟性を確保」。

大量保有報告書

たいりょうほゆうほうこくしょ / Large Holding Report

上場会社の株式を5%超保有することになった場合に金融商品取引法上提出が義務付けられる報告書(金商法27条の23)。M&A・TOB関連の重要開示書類で、保有目的(純投資・経営参画・重要提案行為等)を明示する。

「7%取得後に大量保有報告書を提出、保有目的を経営参画と明示」。

株式・株主 に関するよくある質問

Q.中小企業の株主名簿が実態と乖離しているケースの対処は?
M&A前に必ず株主名簿の整備・実態確認を行います。過去の相続未処理、贈与記録の不備、名義株(実質株主と名義人の不一致)等、中小企業の株主構成は頻繁に問題が発生します。実態確認の上で、必要に応じて名義書換・自己株式取得・株式集約等の整理を、M&A実行の半年〜1年前から進めるのが理想です。
Q.スクイーズアウトの手法選択基準は?
TOBや市場取得で議決権90%以上を確保できた場合は、株主総会決議不要で迅速に実施できる「特別支配株主の株式等売渡請求」(会社法179条以下)が選ばれます。90%未満の場合は「株式併合」(会社法180条、株主総会特別決議が必要)が選択されます。両手法とも、少数株主からの価格決定申立てが可能で、価格の妥当性が裁判所で争われることがあります。
Q.種類株式を事業承継で活用する具体例は?
代表的な活用例は3つあります。(1)後継者に普通株式を集中、他の親族に議決権制限・配当優先株式を割り当てることで、経営権を集中させつつ親族間の公平性を保つ。(2)創業者に黄金株(拒否権付株式)を1株保有させ、引退後も重要事項に対する拒否権を維持する。(3)取得条項付株式を発行し、後継者の経営権安定後に強制取得して整理する。設計は税理士・弁護士との詳細協議が必須です。
今井 健太郎
監修
今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)
早稲田大学政治経済学部卒。野村総合研究所を経て、2016年に株式会社KI Strategyを設立。M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス(BDD/ITDD)、PMI支援を専門とする。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。プロフィール詳細 →

用語の意味は分かった。次は実務へ。

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