事業承継・M&A補助金の申請ガイド。事業承継促進枠・専門家活用枠・PMI推進枠・廃業再チャレンジ枠の4枠の対象・補助率・補助上限・対象経費と、GビズID取得からjGrants電子申請までの手順を、売り手・買い手目線で整理しました。採択率の分析や手数料・事業承継税制との違いは関連ガイドへ案内します。
事業承継・M&A補助金は、中小企業・小規模事業者の事業承継やM&A(第三者承継)を後押しする国の補助金です。中小企業庁の「中小企業生産性革命推進事業」の一環として実施され、かつての「事業承継・引継ぎ補助金」を再編・改称したものにあたります。世代交代やM&Aに伴う設備投資、専門家(FA・仲介など)への費用、M&A後の経営統合(PMI)、廃業・再チャレンジまでを、目的別の複数の枠で幅広くカバーするのが特徴です。
本ページは、どの枠が自社に当てはまるか、補助率・上限・対象経費はどれくらいか、そしてjGrants(電子申請)での申請手順までを、申請を検討する売り手・買い手の目線で整理した「申請ガイド」です。各公募回の採択率・採択件数や公募回ごとの傾向の分析は事業承継・M&A補助金の採択結果分析に集約しているため、本ページでは制度の仕組みと申請実務に絞って解説します。
本ページの補助率・上限額は「令和7年度補正予算(14次・15次公募)」の公募内容に基づく一般的な整理です。枠の構成・補助率・上限額・対象経費・申請期間は公募回ごとに変わるため、申請前に必ず事業承継・M&A補助金 公式サイトおよび中小企業庁の最新の公募要領で確認してください。
事業承継・M&A補助金は、大きく次の4つの枠で構成されます。自社が「いまどの局面にいるか」で使う枠が変わります。
「会社を売りたい/買いたい」段階なら専門家活用枠、「買収後の統合」ならPMI推進枠、というのが基本の対応関係です。
各枠のおおよその補助率・上限額・対象経費は次のとおりです(令和7年度補正予算の公募に基づく目安。最新値は公募要領で要確認)。
| 枠/類型 | 主な対象 | 補助率 | 補助上限 |
|---|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 承継を機の設備投資・新たな取り組み | 1/2・2/3(小規模事業者は2/3) | 800〜1,000万円(賃上げ実施時は1,000万円) |
| 専門家活用枠(買い手支援類型) | 譲り受ける側のFA・仲介・DD等 | 1/3・1/2(一定要件で2/3) | 600〜800万円(DD費用は要件該当時 最大2,000万円) |
| 専門家活用枠(売り手支援類型) | 譲り渡す側のFA・仲介等 | 1/2(赤字・営業利益率低下等で2/3) | 600〜800万円 |
| 専門家活用枠(小規模売り手支援類型) | 小規模事業者の売り手 | 2/3 | 450万円 |
| PMI推進枠(PMI専門家活用類型) | 統合に係る専門家活用 | 1/2 | 150万円 |
| PMI推進枠(事業統合投資類型) | 統合後の設備投資等 | 1/2・2/3 | 800〜1,000万円(賃上げ実施時は1,000万円) |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 廃業・再チャレンジ費用 | 1/2・2/3 | 150万円(他枠併用で加算) |
専門家活用枠の主な対象経費は、FA・仲介に係る費用、デューデリジェンス(DD)費用、セカンドオピニオン費用、表明保証保険料、謝金・旅費・外注費・委託費・システム利用料などです。事業承継促進枠・事業統合投資類型では設備費・産業財産権等関連経費・委託費等、廃業・再チャレンジ枠では廃業支援費・在庫廃棄費・解体費・原状回復費・リース解約費・移転費等が対象です。補助率・上限は公募回・賃上げ要件・企業規模等で変動します(出典1・出典2)。
補助対象となるのは、日本国内に事業所を置く中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)が中心です。枠ごとに「いつまでにM&A・承継を行う/行った」などの要件が定められています。
特に重要なのが、専門家活用枠でFA・仲介の費用を補助対象にするには、その専門家が中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されている必要があるという点です。登録FA・仲介を使わないと費用が補助対象外になり得るため、相談先を選ぶ段階から登録の有無を確認しておくと安全です。仲介とFAの違い・選び方はM&A仲介とFAの違い 完全比較、相談先全般の比較は事業承継・M&Aの相談先 完全比較を参照してください。
補助金は「申請すればすぐもらえる」ものではなく、採択→交付決定→事業実施→実績報告→確定→請求という流れを経て、原則として後払い(精算払い)で入金されます。全体像は次のとおりです。
採択率や公募回ごとの傾向(どの枠が通りやすいか等)は本ページでは扱わず、採択結果分析に整理しています。
事業承継・M&A補助金の申請は、国の補助金電子申請システムjGrants(Jグランツ)から行います。jGrantsの利用にはGビズIDプライムアカウントが必要です。
GビズIDの取得待ちで締切に間に合わない、というのが実務で最も多いつまずきです。M&Aや承継を検討し始めた段階で、先にGビズIDプライムだけ取得しておくことをおすすめします。
専門家活用枠は、FA・仲介に支払う費用の一部を補助するものです。そのため、まずM&Aの手数料がどの程度かかるかを把握したうえで、補助でどこまで軽減できるかを考えると見通しが立てやすくなります。レーマン方式・最低報酬など手数料の仕組みはM&A手数料の相場で確認できます。
なお、補助金と「事業承継税制」(贈与税・相続税の納税猶予)は別の制度です。補助金は費用の一部を給付するもの、事業承継税制は自社株式にかかる税の納税を猶予・免除するものです。事業承継税制の特例措置には提出・適用の期限があり、混同しやすいので注意してください。詳細は事業承継税制(特例措置)の期限を参照してください。
国の補助金に加えて、都道府県・市区町村や商工会議所・商工会が独自に事業承継・M&A関連の補助や支援を設けている場合があります。国の補助金と地域支援を組み合わせられるケースもあるため、自社の所在地の支援メニューもあわせて確認しましょう。
地域の公的相談窓口(事業承継・引継ぎ支援センターなど)の使い分けは中小企業の公的相談窓口ガイド、地域ごとの事業承継・M&Aの状況は後継者不在の現状と解決策や各都道府県ページで確認できます。補助金活用を前提にしたM&Aの進め方は、まず概算の価格感の把握(無料の企業価値の簡易試算)から始めるとスムーズです。
事業承継・会社売却・M&Aの最適プロセスをご提案します。売り手側支援・買い手側支援・DD・PMIまで独立系コンサルティング会社として一気通貫。DD・PMI実務は姉妹サイトDD-AXで深掘り対応。
秘密厳守、初回相談無料、全国対応。