会社売却 事例 / 中小M&Aの読み解き方

会社売却の「事例」はなぜ見つからない?公的統計・業種別パターンで読む中小M&Aのリアル


「自分と同じような会社が、いくらで・どんな相手に売れたのか」——会社売却を検討すると、まず探したくなるのが 具体的な成約事例 です。ところが中小M&Aの個別事例は、ネット上を探してもほとんど出てきません。これは情報が隠されているからではなく、「公表しないこと」が業界の前提だからです。

本記事では、(1) なぜ中小M&Aの事例は表に出にくいのか、(2) 個別事例が見えなくても公的統計から読み取れる「成約のリアル」(成約件数の推移・譲渡企業の規模分布)、(3) 業種別の典型的な成約パターンの一般論、(4) 規模別に「いくらで売れるか」を考える視点、(5) 公表されている実在事例の探し方・読み解き方、までを出典・時点付きで整理します。架空の成約事例や金額は一切掲載していません。最後に、自社の概算を知る無料査定への導線をご案内します。

公開: 2026-07-31 / 監修: 今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)

この記事は、「会社売却の具体的な成約事例(いくらで・どんな相手に・どう売れたか)を知りたい」という売り手の方に向けて書いています。先に結論をお伝えすると、あなたと同じ規模・業種の会社が「いくらで売れたか」をピンポイントで示す事例集は、世の中にほとんど存在しません。それは情報が隠蔽されているからではなく、中小M&Aの世界では「公表しないこと」が当たり前だからです。本記事では、その理由を誠実に説明したうえで、個別事例の代わりに信頼できる公的統計業種別の一般的パターンから「成約のリアル」を読み解く方法を、出典と時点を明記してお伝えします。

1. 「会社売却の事例が見つからない」のはなぜか(非公表が前提の世界)

会社売却の事例をインターネットで探すと、上場企業同士の大型買収ニュースや、仲介会社サイトの「導入事例」は出てくるものの、年商数千万円〜数億円規模の中小企業同士の生々しい成約事例はほとんど見つかりません。これには、中小M&A特有の明確な理由があります。

理由1:秘密保持契約(NDA)が交渉の入口に存在する

M&Aの検討は、売り手・買い手の双方が 秘密保持契約(NDA/Non-Disclosure Agreement) を結ぶところから始まります。会社名・財務情報・取引先・従業員情報などの機微な情報は、NDAによって厳格に保護されます。成約後も、譲渡価額や条件を含むディールの内容は秘密保持の対象として扱われるのが通常です。つまり、当事者には「事例を世に出す」インセンティブよりも「出さない」契約上の制約のほうが強く働くのです。NDAは情報を欲しがる第三者から見れば「壁」ですが、売り手にとっては自社の情報を守る重要な仕組みでもあります。

理由2:信用毀損・取引先離反・従業員動揺のリスク

中小企業にとって「会社を売る」という事実が外部に漏れることは、想像以上に大きなリスクを伴います。

こうしたリスクがあるため、成約した後ですら「実名で公表する」ことを当事者が望まないのが一般的です。買い手側にとっても、買収先の従業員や取引先への配慮から、過度な公表を避ける動機があります。

理由3:そもそも「公表義務」がない

上場企業は、投資家保護の観点から一定の重要事実を 適時開示 する義務があります。しかし、非上場の中小企業同士のM&Aには、原則として外部への公表義務がありません。後述するとおり、中小M&Aの当事者は売上高1億円以下・従業員10名以下が中心です。これらの非上場・小規模なディールは、当事者が任意でプレスリリースを出さない限り、外部から把握する手段がそもそも存在しないのです。

「事例が少ない」を正しく理解する
  • 中小M&Aの個別事例が表に出にくいのは、NDA・信用リスク・公表義務の不在という構造的な理由による
  • ネットで見つかる事例は「公表できる=比較的規模が大きい/買い手が上場企業/当事者が公表に同意した」案件に偏った氷山の一角
  • だからこそ、個別事例の金額を自社の相場と短絡せず、公的統計と一般的パターンで全体像を掴むことが重要

2. 公的統計で読む“成約のリアル”(件数・規模分布・歩留まり)

個別事例が非公表でも、公的統計を使えば「中小M&Aの成約が実際にどう動いているか」を把握できます。ここでは、信頼性の高い一次情報をもとに、成約件数の推移・譲渡企業の規模・相談から成約への流れを整理します。なお、統計データの網羅的な解説は 事業承継・M&Aの統計データまとめ に譲り、本記事では「事例の代わりに成約のリアルを掴む」という観点に絞って紹介します。

公的な「第三者承継(M&A)」成約件数は右肩上がり

全国に設置されている 事業承継・引継ぎ支援センター(独立行政法人中小企業基盤整備機構=中小機構が運営支援)が扱う第三者承継(M&A)の成約件数は、近年一貫して増加しています。これは「公的窓口を経由した中小M&Aの成約」という、最も信頼できる成約のリアルを示す指標の一つです。

年度第三者承継(M&A)成約件数前年度比
令和3年度(2021年度)1,514件
令和4年度(2022年度)1,681件約111%(当時過去最高)
令和5年度(2023年度)2,023件約120%
令和6年度(2024年度)2,132件約+5.4%(過去最高更新)

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継・引継ぎ支援事業(センター)の実績について」各年度プレスリリース(毎年5月末公表。令和6年度実績は2025年5月30日発表)。J-Net21掲載の中小機構発表(令和5年度実績、2024年5月30日)も参照。時点:各年度(4月〜翌3月)。

4年間で成約件数は 1,514件 → 2,132件へと約1.4倍 に伸びています。これは公的窓口経由に限った数字であり、民間の仲介会社・M&Aプラットフォーム経由の成約は含まれていません。「中小企業の会社売却は、もはや珍しいことではない」という実態を、誇張なく示すデータです。

相談は増え続け、累計の窓口利用は15万者超

同センターへの相談者数も伸びています。令和4年度22,361者、令和5年度23,722者と増加し、令和6年度(2024年度)は23,000者超(うち第三者承継の相談者は16,045者)。新規相談はセンター事業開始以来初めて前年から微減したものの、累計相談者数は15万者超(うち累計の第三者承継相談者は約12万者)に達しています。また、後継者人材バンクの成約も令和6年度に106件と過去最高を記録しました。

出典:中小機構プレスリリース「令和6年度 事業承継・引継ぎ支援センターの実績について」(2025年5月30日発表、PR TIMES掲載)ほか各年度プレスリリース。時点:令和6年度(2024年度)末時点の累計を含む。

「相談すれば売れる」わけではない——歩留まりの注意

ここで重要なのは、相談件数と成約件数の差です。令和6年度を例にとると、第三者承継の相談者16,045者に対し、成約は2,132件。単純計算では相談者の約13%水準にとどまります。

ただし、この数字を「成約率13%」と断じるのは誤りです。相談には、その年度に成約しない案件・複数年にまたがる案件・検討段階で見送る案件が多く含まれており、これは正式な単年の歩留まり指標ではありません。あくまで「相談の大半はその年に成約に至らず、会社売却には時間がかかる」という定性的な傾向を読み取るための参考値として捉えてください。会社売却は、相談すれば自動的に成約するものではなく、相手探し・条件交渉・デューデリジェンスを経て、年単位の時間をかけて成立するのが実態です。

注:歩留まりの数値は中小機構の公表値からの単純計算であり、複数年にまたがる相談・成約に至らない案件を含むため、正式な成約率ではありません。

日本全体のM&A件数も過去最多を更新

視野を広げると、日本企業のM&A件数(全マーケット)は 2024年に4,700件と過去最多を更新(前年比+17.1%、従前最多は2022年の4,304件)。このうち国内企業同士(IN-IN)のM&Aは 3,702件(前年比+20.5%、過去最多)でした。

出典:レコフデータ/MARR Online「2024年のM&A回顧(2024年1-12月の日本企業のM&A動向)」(M&A専門誌マール2025年2月号)。時点:2024年(暦年1-12月)。

さらに、中小企業庁のM&A支援機関登録制度に基づく報告ベースの中小M&A件数(譲渡側)も、2022年度4,036件 → 2023年度4,681件 → 2024年度4,940件と増加傾向にあります(出典:中小企業庁「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」M&A支援機関登録制度サイト。時点:2022〜2024年度)。複数の独立した統計が、いずれも「中小M&Aの成約は増えている」という同じ方向を指しています。

譲渡企業(売り手)の規模分布——「小さい会社」が主役

「事例が見つからない」と感じる最大の理由は、ここにあります。中小M&Aの売り手は、圧倒的に小規模な企業が中心だからです。公的な集計によると、譲渡企業の規模はおおむね次のような分布を示します。

出典:中小企業庁・中小機構の公表集計(中小M&A関連資料/事業承継・引継ぎ支援事業の実績)。時点:令和5年度(2023年度)前後。規模分布の数値は集計資料・年度により定義や母集団が異なるため、目安としてご参照ください。

このように、中小M&Aの大半は「年商1億円以下・従業員10名以下」の小さな会社です。こうした会社のディールは適時開示の対象でもなく、当事者がプレスリリースを出すこともまずありません。つまり、「あなたの会社と似た規模の事例ほど、構造的に表に出てこない」のです。これは情報の欠落ではなく、中小M&A市場の正常な姿だと理解してください。

3. 業種別の典型的な成約パターン(一般論)

個別の社名・金額は出せませんが、「どんな業種が、どんな理由で、どんな相手に承継されやすいか」という典型的なパターンは、中小企業庁の資料・大手仲介の業界別動向・会計事務所の解説などで共通して語られる一般的傾向として整理できます。ここで紹介するのはあくまで一般論であり、特定企業の事例ではありません。自社が当てはまるかは、業種・地域・財務状況によって異なります。

製造業:設備・技術・取引先の「承継型」

製造業のM&Aで買い手が評価するのは、多くの場合「設備・技術・取引先(販路)」です。特定の加工技術や品質管理ノウハウ、長年取引を続けてきた大手メーカーとの安定した取引関係は、買い手が一から構築するには時間がかかるため、承継の動機になりやすい要素です。下請構造のなかで特定の役割を担ってきた会社が、同業の同業者や、川上・川下への垂直統合を狙う買い手にグループ入りする——というのが典型的な流れの一つです。一方で、特定の取引先への売上依存度が極端に高い場合は、その取引が承継後も継続するかが評価の焦点になります。

小売・飲食業:立地・商圏・居抜きの「譲受型」

小売・飲食業では、「立地・商圏・店舗(居抜き)・常連客」が価値の源泉になりやすい業種です。好立地の店舗を居抜きで引き継ぎたい買い手、エリアでドミナント展開を進めたい同業チェーン、新規業態への参入を狙う異業種などが買い手になるケースが見られます。スモールM&AやM&Aプラットフォーム上でも案件が動きやすい分野で、個人や小規模事業者が買い手になることも珍しくありません。ただし、店舗のブランドや味が特定の経営者・職人に強く依存している場合、その属人性をどう引き継ぐかが論点になります。

建設業:許認可・職人/現場人材の「承継型」

建設業では、「建設業許可などの許認可・有資格者・職人や現場人材」が大きな価値を持ちます。新規に取得・育成するには時間と手間がかかるため、人材難の業界では「許認可と人材ごと引き継ぎたい」という承継ニーズが生まれやすい構造です。施工実績や元請けとの関係、地域での信用も評価対象になります。なお、許認可がスムーズに承継できるかどうかはスキーム(株式譲渡か事業譲渡か)によって扱いが変わるため、専門家への確認が欠かせません。

共通する論点:属人性をどう「仕組み」に変えるか

業種を問わず共通するのは、「その会社の価値が、経営者個人に依存していないか」という論点です。技術・取引先・顧客が経営者個人の人脈や勘に紐づいていると、承継後に価値が失われるリスクが高まり、評価が下がりやすくなります。逆に、属人性を仕組み・組織・マニュアルに落とし込めている会社は、買い手にとって引き継ぎやすく評価されやすい——これはあらゆる業種に通じる一般的傾向です。

業種別の相場感や具体的な数値レンジについては、業種別M&A動向・相場ページで業種ごとに整理しています。本記事では数値の重複を避け、「どんな価値が承継されやすいか」というパターンの把握に絞っています。

4. 規模別に見る「いくらで売れるか」の考え方

「結局、うちはいくらで売れるのか」——これが最も知りたいことだと思います。ただし、本記事では特定の金額レンジを断言しません。理由は2つあります。第一に、前述のとおり個別事例の金額は非公表が前提で、信頼できる「相場サンプル」が世に出回っていないこと。第二に、会社の価値は業種・収益力・財務状況・無形資産によって大きく変わり、「年商◯円ならいくら」という単純な早見表は実態とずれるからです。ここでは、金額そのものではなく「いくらで売れるかを考えるための視点」をお伝えします。

視点1:価額は「純資産+収益力」で考えるのが基本

中小M&Aで最も多用される評価の考え方は、「時価純資産+営業利益の数年分」という発想(いわゆる年買法の考え方)です。つまり、貸借対照表上の資産価値に、その会社が将来生み出す収益力を上乗せして価額を組み立てます。だからこそ、決算書の利益が薄い会社でも、調整後の正常収益力が高ければ評価が上がる余地があります。具体的な計算式・手法の使い分け(年買法・EV/EBITDA倍率法・DCF法)は 企業価値算定の手法解説 で詳しく扱っています。

視点2:同じ「年商◯円」でも価額は数倍ぶれる

同じ年商規模でも、利益率・成長性・取引先の安定性・無形資産(許認可・技術・顧客基盤)によって価額は大きく変わります。たとえば赤字すれすれの会社と、安定して高い営業利益を出している会社では、たとえ売上が同じでも評価はまったく異なります。「他社がこの金額で売れた」という話を聞いても、その会社と自社の業種・規模・収益構造が揃っていなければ、参考になりません。事例の金額をそのまま自社にあてはめるのは、最も避けるべき誤りです。

視点3:相場の「数値」と「概算」は別ページで掴む

本記事の役割は「事例の読み方・相場感の作り方」までです。具体的な数値が必要な場合は、目的に応じて次のページをご利用ください。

知りたいこと参照先
業種ごとの相場レンジ・倍率の目安業種別M&A動向・相場ページ
企業価値の算定手法(計算式と使い分け)企業価値算定の手法解説
自社の概算額をすぐ知りたい無料 企業価値査定(概算)
統計データを網羅的に確認したい事業承継・M&A統計データまとめ

5. 公表M&A事例の探し方・読み解き方

「それでも実在の事例を見てみたい」という方のために、公表されている本物のM&A事例を、信頼できる一次情報から探す方法をご案内します。ここで紹介する情報源は、すべて当事者の同意や法令に基づいて公表されたものです。これらを正しく読めば、創作された事例に頼らずに「本物の事例」に触れられます。

(A) 上場企業がからむ事例は「適時開示」で探す

上場会社が中小企業を買収・子会社化したり、株式譲渡契約を締結・実行したりした場合、投資家保護のため 適時開示 が行われます。東京証券取引所の TDnet(適時開示情報閲覧サービス) で、「◯◯株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」といった開示資料を検索できます。

上場企業が買い手のケースが多いため、対象となる中小企業の規模は比較的大きめに偏ります。あくまで「上場企業に買われる規模の会社」の事例である点は意識してください。

(B) 各社プレスリリース・IRサイト

買収側企業の公式サイトのニュース/IRページ、PR TIMESなどの配信プレスリリースで「グループ入り」「資本業務提携」「M&Aによる事業承継」といったキーワードを検索する方法です。中小同士の非上場案件には適時開示義務がないため、当事者が任意で出したプレスリリースが唯一の一次情報になることが多くあります。

(C) 支援機関・仲介会社の公表事例集

大手M&A仲介会社や、中小企業庁に登録されたM&A支援機関(令和6年12月17日時点で約2,800者:法人2,163・個人事業主678)の公式サイトには、「成約事例」「導入事例」「実績」ページがあります。掲載されるのは当事者の許諾を得た事例のみで、実名または匿名(業種・地域・規模のみ開示)です。匿名事例でも、「製造業・年商◯億円・従業員◯名が、どんな相手に・どんな目的で承継したか」というパターンの把握には有用です。

出典:中小企業庁「M&A支援機関 登録状況(令和6年12月17日現在)」(M&A支援機関登録制度)。

(D) M&Aプラットフォームの成約実績ページ

事業承継・M&Aのマッチングプラットフォーム各社が公表している累計成約件数・成約事例インタビューも、スモールM&Aのリアルを知る手がかりになります。小規模案件が中心のため、年商数千万円規模の会社売却のイメージを掴みたい方に向いています。

(E) 公的統計で「全体像」を掴む

個別事例が非公表でも、本記事の第2章で紹介したような公的統計を使えば、件数・規模分布・成約傾向の全体像が分かります。主な一次情報は次のとおりです。

公表事例を読むときの3つの注意
  • バイアスを意識する:公表される案件は「規模が大きい/買い手が上場企業/当事者が公表に同意した」案件に偏った氷山の一角。中小M&Aの大半(年商1億円以下・従業員10名以下)は非公表
  • 金額を自社に直結させない:事例の譲渡価額をそのまま自社の相場と捉えず、業種・規模を揃えて見る
  • 出典で裏を取る:実在事例を引用するなら、適時開示・プレスリリース・支援機関事例集の原典で企業名・開示名・年を必ず確認する。曖昧な事例は信用しない

6. 事例から逆算する「売れる会社」の条件

公表事例や公的統計を横断的に見ていくと、買い手から評価されやすい会社には共通点があります。個別の金額に一喜一憂するより、「自社が買い手から見てどう映るか」を点検するほうが、はるかに実りがあります。事例から逆算できる「売れる会社」の条件を整理します。

これらは、後継者不在で悩む経営者がM&Aを選ぶ際にも、評価を高めるための準備として重要なポイントです。後継者不在からM&Aで承継を実現する流れは 後継者不在の解決策ガイド で詳しく解説しています。また、売却を本格的に検討する段階では、売り手(譲渡)アドバイザリーのような専門家の伴走が、価値の最大化と情報管理の両面で役立ちます。

7. まず自社の概算を知る(無料査定への導線)

ここまで読んで、「他社の事例を探すより、まず自社が今どのくらいの評価になるのかを知りたい」と感じた方も多いはずです。それは、最も合理的な発想です。他社の非公表の事例を追いかけるより、自社の数字をベースに概算を出すほうが、はるかに実態に近い「相場感」が得られます

本サイトでは、中小M&A実務で標準的に使われる考え方(時価純資産+営業利益の数年分、EBITDA倍率法など)に沿って、自社の企業価値の概算額を無料で算出できるツールをご用意しています。決算書の主要な数値を入力するだけで、複数手法による概算レンジを確認できます。

会社売却は、一社一社が固有の物語を持つ取引です。他社の事例は「読み方」さえ間違えなければ参考になりますが、最終的に意味を持つのはあなたの会社の数字と価値です。まずは無料の概算査定で出発点をつかみ、必要に応じて専門家に相談する——この順番が、遠回りに見えて最も確実な進め方です。

※本記事には、架空の社名・譲渡金額・当事者談話・成約事例は一切含まれていません。掲載した統計はすべて出典・時点を明記しています。規模分布など一部の数値は集計資料・年度により定義や母集団が異なるため、目安としてご参照ください。

よくある質問(FAQ)

Q.会社売却の具体的な成約事例(社名・金額)はどこで見られますか?

年商数千万円〜数億円規模の中小企業同士の事例は、ほとんど公表されていません。秘密保持契約(NDA)・信用毀損リスク・公表義務がないことが理由で、これは情報の隠蔽ではなく中小M&Aの構造的な前提です。実在の公表事例を見たい場合は、(A) 上場企業がからむ案件はTDnet(適時開示)、(B) 各社プレスリリース・IRサイト、(C) M&A仲介会社・支援機関の公表事例集(当事者の許諾を得た実名/匿名事例)、(D) M&Aプラットフォームの成約事例インタビューが一次情報になります。ただし公表される案件は規模が大きい・買い手が上場企業など偏りがあり、氷山の一角である点に注意が必要です。

Q.中小企業の会社売却(第三者承継)は実際どのくらい成約していますか?

事業承継・引継ぎ支援センターの第三者承継(M&A)成約件数は、令和3年度1,514件、令和4年度1,681件、令和5年度2,023件、令和6年度2,132件(過去最高)と一貫して増加しています(出典:中小機構の各年度プレスリリース。時点:各年度)。これは公的窓口経由に限った数字で、民間仲介やプラットフォーム経由は含みません。日本全体のM&A件数も2024年に4,700件と過去最多を更新しており(出典:レコフデータ/MARR、2024年暦年)、中小企業の会社売却はもはや珍しくない選択肢になっています。

Q.相談すれば必ず会社は売れますか?

いいえ。令和6年度の事業承継・引継ぎ支援センターでは、第三者承継の相談者16,045者に対し成約は2,132件で、単純計算では相談者の約13%水準です。ただし、相談にはその年度に成約しない案件・複数年にまたがる案件・検討段階で見送る案件が多く含まれるため、これは正式な単年の成約率ではありません。あくまで『会社売却には相手探し・条件交渉・デューデリジェンスを経て年単位の時間がかかる』という傾向を示す参考値です(出典:中小機構 令和6年度実績公表値からの単純計算)。

Q.他社が『いくらで売れたか』を自社の相場の参考にしてよいですか?

業種・規模・収益構造が揃っていない限り、参考になりません。同じ年商でも、利益率・成長性・取引先の安定性・無形資産(許認可・技術・顧客基盤)によって評価額は数倍ぶれます。事例の金額をそのまま自社にあてはめるのは最も避けるべき誤りです。自社の相場感を知るには、業種別の相場は業種別ページ、算定手法は企業価値算定ガイド、概算額は無料査定ツールで、自社の数字をベースに確認するのが確実です。

Q.中小M&Aの売り手はどのくらいの規模の会社が多いですか?

公的な集計では、譲渡企業(売り手)の売上高は3,000万円以下が約36%、3,000万円超〜1億円以下が約32%で、1億円以下で約7割弱を占めます(別集計では1億円以下が6割超、5億円以下で9割超)。従業員数は10名以下の企業が全体の約7割です(出典:中小企業庁・中小機構の公表集計、令和5年度前後。集計資料・年度により定義が異なるため目安)。つまり中小M&Aの主役は小規模な会社で、こうした案件ほど適時開示やプレスリリースの対象にならず、事例が表に出にくいのです。

Q.業種によって会社の売れ方は違いますか?

一般的な傾向として、製造業は『設備・技術・取引先(販路)』、小売・飲食業は『立地・商圏・店舗(居抜き)・常連客』、建設業は『許認可・有資格者・職人や現場人材』が価値の源泉になりやすいとされます(中小企業庁資料・大手仲介の業界別動向・会計事務所解説で共通する一般論)。業種を問わず共通するのは、価値が経営者個人に依存せず組織・仕組みに落とし込めているほど、買い手に引き継ぎやすく評価されやすいという点です。なお、これらは一般的傾向であり、特定企業の事例ではありません。

今井 健太郎
監修
今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)
早稲田大学政治経済学部卒。大手シンクタンクを経て、2016年に株式会社KI Strategyを設立。M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス(BDD/ITDD)、PMI支援を専門とする。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。プロフィール詳細 →

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