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M&A仲介の手数料はいくら?大手4社・プラットフォーム・独立系の料金体系を公式情報で比較【2026年】


M&A仲介 手数料 比較。日本M&Aセンター・M&Aキャピタルパートナーズ・ストライク・M&A総合研究所の公式料金(着手金・中間金・計算基準・最低報酬)と、バトンズ・トランビ、独立系コンサルの料金を2026年8月時点の公開情報で比較。同じ5%で支払額が約2倍変わる理由も試算付きで整理しています。

公開: 2026-10-19 / 監修: 今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)

手数料は「4つの部品」と「何に掛けるか」で決まる

M&A仲介の手数料を会社ごとに比べる前に、比較の物差しを揃えておく必要があります。仲介会社に支払う費用は、相談・着手の段階で払う着手金、相手先と基本合意した時点で払う中間金、成約時に払う成功報酬、そして成功報酬がいくら小さくてもこれ以下にはならないという最低報酬の4つの部品でできています。会社によって「着手金無料」「完全成功報酬」と看板の出し方が違うのは、この4つのうちどれをゼロにしているかの違いです。

もう一つ見落とされやすいのが、成功報酬の計算基準です。多くの仲介会社は「5億円以下の部分は5%、5億円超10億円以下は4%……」という階段状の料率(レーマン方式)を採用していますが、その5%を何に掛けるかが会社によって異なります。株式の譲渡価格に掛けるのか、有利子負債を含めた企業価値に掛けるのか、負債まで含めた総資産(移動総資産)に掛けるのか、あるいは株式の譲渡対価に役員退職金やオーナーからの借入金の返済などを加えた「オーナー受取額」に掛けるのか。料率が同じ5%でも、基準が変われば支払額は倍近く変わります。レーマン方式そのものの仕組みと基準ごとの計算例はM&A手数料の相場とレーマン方式にまとめていますので、本ページでは各社の公開情報の比較に絞ります。

大手仲介4社の公開料金体系を並べる(2026年8月時点・各社公式サイト)

以下は、日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、M&A総合研究所の4社が自社の公式サイトで公開している料金体系を、2026年8月時点で当サイトが確認したものです。公式サイトに記載のない項目は「記載なし」としています。「記載なし」は「無料」や「存在しない」を意味しません。口コミサイトや比較サイトの数値は、ここでは一切使っていません。

利益相反の開示:当サイトを運営する株式会社KI Strategyは、売り手側に専任する独立系コンサルティング会社で、下記4社とは競合関係にあります。この比較表は各社の公式公開情報のみを転記したもので、当社の評価や推奨を含みません。契約前には必ず各社の最新の公式資料と、仲介契約書の手数料条項をご確認ください。

項目日本M&AセンターM&AキャピタルパートナーズストライクM&A総合研究所
着手金あり(金額は記載なし。企業評価料・企業概要書作成費・データシステム利用料を含む)無料無料無料(譲渡企業)
中間金・基本合意時の報酬記載なし手数料総額の約10%を中間報酬として先行、残り約90%が成功報酬基本合意時に固定額:総資産10億円以下100万円/10億円超50億円以下200万円/50億円超300万円(税別)無料(譲渡企業)
成功報酬の計算基準時価総資産ベース株価(株式価値)ベースオーナー受取額ベース譲渡価格ベース(負債を含まない)
料率(レーマン方式)5億円以下5%/5億超10億以下4%/10億超50億以下3%/50億超100億以下2%/100億超1%同左(5・4・3・2・1%)4億円以下は2,000万円(固定)/4億超5億以下5%/5億超10億以下4%/10億超50億以下3%/50億超100億以下2%/100億超1%(税別)同左(5・4・3・2・1%)
最低報酬記載なし記載なし譲渡側は4億円以下2,000万円の固定額が実質的な下限2,500万円
売り手・買い手の別両者で異なる報酬表あり両者同一譲受側は別ページ案内(本ページには記載なし)譲受側は別ページ案内(記載なし)

出典:各社公式サイトの料金ページ(出典節にURL)。2026年8月に当サイトが確認。各社の改定により変わる可能性があります。

表を眺めると、料率の階段は4社とも「5・4・3・2・1%」で横並びです。違いは料率ではなく、①何に掛けるか(基準)②いつ払うか(着手金・中間金)③下限がいくらか(最低報酬・固定額)の3点に集約されます。この3点を無視して「どこも5%だから同じ」と考えると、契約後に想定の倍の請求を見ることになりかねません。

同じ「5%」で支払額がどう変わるか:譲渡価格3億円・総資産6億円の会社の例

株式の譲渡価格が3億円、貸借対照表の総資産が6億円(有利子負債3億円を含む)という中小企業を想定します。各社の公開情報どおりに成功報酬を計算すると、次のようになります。着手金・中間金・消費税は含みません。

同じ会社、同じ「5%」でも、成功報酬は1,500万円から2,900万円まで開きます。譲渡価格3億円に対する比率で言えば5%から約9.7%です。計算基準が総資産ベースの会社は、借入金が多い会社ほど手数料が膨らむ構造になっており、逆に無借金で資産の少ない会社では差が縮まります。自社のバランスシートを見て、どの基準が有利かを先に把握しておくと、会社選びの軸が一つ増えます。

注意してほしいのは、この試算は「公式サイトの記載どおり」であって「実際の請求額」ではないことです。最低報酬が非公開の会社に下限が存在しないとは限りませんし、着手金や中間金が加わると順位は入れ替わります。契約前に、この4項目を自社の数字で書いた見積もりを各社に出してもらうのが確実です。

プラットフォームの料金:「売り手無料」の意味

バトンズやトランビのようなM&Aプラットフォーム(マッチングサイト)は、仲介会社とは料金の考え方が根本から違います。売り手は掲載から成約まで無料で、費用を負担するのは買い手です。バトンズは買い手が成約価格の2%(税込2.2%)を成約時システム利用料として支払い、最低手数料は成約価格1,000万円未満で35万円、1,000万円以上で70万円、5,000万円以上で150万円(いずれも税別)です。売り手向けには有料の成約報酬制サポートがあり、会社譲渡(株式譲渡)の場合は「プレミアムサポートサービス」の利用が必須で、成約価格1,000万円未満で200万円から、3億円以上で成約価格の5%(税別)です。事業譲渡などでは、より低額の「サポートサービス」(500万円未満50万円から、4,000万円以上で5%・税別)が適用されます(バトンズ公式「BATONZ利用料金」)。トランビは買い手が月額3,980円から19,800円(税別)のプランに加入する方式で、月額プラン型では成約手数料が無料です(トランビ公式「利用料金」)。

「売り手無料」は魅力的に見えますが、その意味は「仲介者がいない」ということです。相手探し、条件交渉、契約書の確認、簿外債務の点検を自分で行うか、別途専門家を雇う必要があります。売却額が数千万円までの案件では合理的な選択肢になり得ますし、逆に億単位の案件で交渉を一人で抱えるのは負担が重すぎます。どのプラットフォームが自社に合うか、仲介・FAとの使い分けはM&Aプラットフォーム比較で整理していますので、ここでは深追いしません。

独立系コンサル・FAの料金の考え方

仲介会社が売り手と買い手の両方から報酬を受け取る「両手」であるのに対し、FA(フィナンシャル・アドバイザー)や独立系コンサルティング会社は、売り手か買い手のどちらか一方と契約し、その側からのみ報酬を受ける「片手」が基本です。料率の階段は仲介と同じレーマン方式を使う会社が多い一方、案件規模が小さい場合は時間制や固定報酬を組み合わせる会社もあり、最低報酬や着手金の設定は会社ごとに幅があります。当サイトを運営する株式会社KI Strategyも売り手側に専任する独立系コンサルティング会社であり、報酬は案件の規模と関与範囲に応じた個別見積です。

片手方式の意味は、報酬の総額よりも利益相反の構造にあります。両手の仲介者は成約すれば双方から報酬を得るため、価格を高くしても低くしても成約さえすれば収入になります。売り手だけから報酬を受ける専門家は、売り手の受取額が増えるほど報酬も増える設計にできます。この違いが手数料の差以上に結果を左右する場面は珍しくありません。ただし、片手だから常に安いというわけではなく、案件規模が小さいと最低報酬の比率が高くなる点は仲介と同じです。それぞれの相談先の役割と選び方は相談先の比較を、仲介とFAの構造の違いはM&A仲介とFAの違いをご覧ください。

制度面の変化:手数料は「公表」される時代に入った

手数料を比較できる環境は、ここ2年で整いました。中小企業庁は2024年8月30日に「中小M&Aガイドライン」を第3版に改訂し、仲介者・FAが契約前に手数料の体系を説明する義務や、契約終了後にも成功報酬を請求できる「テール条項」の説明、仲介者の利益相反への対応を強化しました。同日、中小企業庁は「M&A支援機関登録制度」の公式サイトで登録支援機関の手数料体系の公表を始めています(中小企業庁「M&A支援機関登録制度ホームページにおいて、登録支援機関の手数料体系の公表を開始しました」2024年8月30日)。登録機関にはガイドライン第3版の遵守が求められ、2026年4月20日には登録制度の公式サイトに手数料の簡易計算ツールも公開されました(M&A支援機関登録制度 公式サイト)。

つまり、仲介会社に依頼する前に、その会社が登録機関であるか、登録機関の公式ページでどんな手数料体系を公表しているかを、売り手自身が確認できます。本ページの比較表で「記載なし」となっている項目も、登録制度の公表情報で補える場合があります。ガイドライン第3版が売り手にとってどう効くかは中小M&Aガイドライン第3版を売り手目線で読むで詳しく扱っています。

手数料だけで仲介会社を選ばないための確認事項

手数料は選定基準の一つに過ぎません。安い会社を選んで相手探しに1年かかれば、その間の業績変動のほうが手数料の差より大きくなります。契約前に、少なくとも次の点を自社の数字で確認しておくことをおすすめします。

契約前チェックリスト
  • 成功報酬の計算基準は何か(株価・企業価値・総資産・オーナー受取額のどれか)。自社の負債額でいくらになるか。
  • 最低報酬・固定額はいくらか。自社の想定譲渡価格に対して何%に相当するか。
  • 着手金・中間金の有無と、破談になった場合に返金されるか。
  • テール条項の有無と期間。契約解除後に自力で成約した場合の扱い。
  • 買い手からも報酬を受けるか(両手か片手か)。受ける場合、売り手と買い手の料率は同じか。
  • M&A支援機関登録制度に登録しているか。登録制度の公式サイトで公表している手数料体系と、提示された見積もりが一致しているか。

手数料を含めた売却後の手取り額を先に把握したい場合は、会社売却 手取りシミュレーターで株式譲渡の税金まで含めた試算ができます。仲介・FAの手数料そのものはM&A手数料シミュレーターで、片手・両手や最低報酬の条件を変えて比べられます。

出典

よくある質問(FAQ)

Q.M&A仲介の最低報酬とは何ですか?
成功報酬をレーマン方式で計算した結果がいくら小さくても、これ以下にはならないという下限額です。公式サイトで金額を公表している会社では、M&A総合研究所が2,500万円、ストライクは譲渡側の譲渡金額4億円以下を2,000万円の固定額としています(いずれも2026年8月時点の公式サイト)。日本M&Aセンターとキャピタルパートナーズは公式サイトに最低報酬の記載がありません。記載がないことは下限がないことを意味しないため、契約前に見積書で確認してください。
Q.「着手金無料」の仲介会社は、着手金がある会社より安いのですか?
一概には言えません。着手金の有無は支払う時期の違いであって、総額の違いではないからです。着手金無料でも、成功報酬の計算基準が総資産ベースであったり、最低報酬が高かったりすれば総額は増えます。本ページの試算では、譲渡価格3億円・総資産6億円の会社で成功報酬が1,500万円から2,900万円まで開きました。着手金・中間金・成功報酬・最低報酬の4つを自社の数字で合算して比べることが必要です。
Q.売り手が無料のM&Aプラットフォームに注意点はありますか?
「売り手無料」は仲介者がいないことを意味します。バトンズやトランビでは費用を負担するのは買い手側で、売り手は相手探し・交渉・契約書の確認・簿外債務の点検を自分で行うか、別途専門家に依頼する必要があります。売却額が数千万円までの案件では合理的な選択肢になり得ますが、億単位の案件や従業員・取引先の引き継ぎが複雑な案件では、売り手側に立つ専門家を置くほうが結果的に有利になることが多いです。
Q.仲介会社の手数料は交渉できますか?
料率の階段そのものを動かすのは難しいことが多い一方、計算基準(株価・企業価値・総資産)の確認、最低報酬の適用条件、着手金・中間金の返金条件、テール条項の期間は契約前に確認・交渉の余地があります。中小M&Aガイドライン第3版(2024年8月改訂)は仲介者に手数料体系の事前説明を求めており、M&A支援機関登録制度の公式サイトでは登録機関の手数料体系が公表されています。提示された見積もりと公表情報が一致しているかを照らし合わせるのが、交渉の出発点になります。
今井 健太郎
監修
今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)
早稲田大学政治経済学部卒。大手シンクタンクを経て、2016年に株式会社KI Strategyを設立。M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス(BDD/ITDD)、PMI支援を専門とする。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。プロフィール詳細 →

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