会社を売ったら手元にいくら残るのか。企業価値(EV)の試算からM&A手数料(レーマン方式)、株式譲渡益への税金(個人は20.315%)までを順に差し引き、最終手取りのレンジ(低位・中位・高位)を一気通貫で概算します。個人株主・法人株主の切替、取得費が不明な場合の概算取得費(収入金額×5%)、役員退職金併用スキームの一般的な考え方にも触れます。結果はあくまで概算で、最終的な税額・スキームは税理士等の専門家への確認が必須です。
会社の売却を検討するとき、最初に気になるのが「結局、手元にいくら残るのか」という最終手取りです。本シミュレーターは、業種・売上高・営業利益・純資産から企業価値(EV)のレンジを試算し、そこからM&A手数料(レーマン方式)と税金を順番に差し引いて、株主の手取りを低位・中位・高位の3シナリオで概算します。
株主区分(個人/法人)を切り替えられ、株式取得時の取得費が分からない場合は概算取得費(譲渡収入金額×5%)を使った試算もできます。なお企業価値の試算ロジックは当サイトの無料企業価値査定、手数料の累進計算はM&A手数料シミュレーターと同一のものを流用し、計算の整合性を担保しています。
表示される金額は国税庁の一次情報に基づく簡易モデルによる概算です。実際の譲渡価額・税額は財務状況・スキーム・交渉・各種特例によって大きく変わります。最終判断は必ず税理士・公認会計士等にご相談ください。
免責: 本ツールの計算は概算であり、実際の税額・手取りを保証するものではありません。EVは簡易概算で実際の譲渡対価はDD・交渉・スキームにより決まります。取得費の実額・各種特例・役員退職金の併用等で結果は変わります。最終的な税額・スキームは必ず税理士・専門家にご相談ください。
本ツールは「企業価値(EV)→ M&A手数料 → 税金 → 最終手取り」という4ステップを一気通貫でつなぎます。当サイトには企業価値だけを試算する無料企業価値査定、手数料だけを試算するM&A手数料シミュレーターがありますが、本ツールはそれらの「最終着地=手取り」を埋める位置づけです。入力するのは、業種・売上高・営業利益・純資産(企業価値の試算用)、株主区分(個人/法人)、株式の取得費(任意・不明なら概算5%)、手数料前提(レーマン方式・最低成功報酬・仲介/FA)です。
出力は、企業価値レンジ(低位・中位・高位)の各シナリオについて、売主が負担するM&A手数料、税額、そして最終手取りを並べたレンジ表示です。M&Aの価格は交渉やデューデリジェンス(買収監査)の結果で動くため、1点ではなく幅で捉えることが実務的です。
最初に、入力された財務情報から企業価値レンジを求めます。業種別のEV/EBITDA倍率法(マルチプル法)と、純資産に営業利益の数年分を加える年買法(年倍法)を組み合わせ、低位・中位・高位の3点を算出します。このロジックは企業価値の算定方法ガイドおよび無料企業価値査定と同じです。
本ツールでは、簡略化のためこの企業価値(EV)を株式の譲渡価額(売却対価)の概算とみなして以降の手数料・税金計算に用います。厳密には「企業価値(EV)− 純有利子負債(借入金など − 現預金)=株式価値」であり、借入の多い会社ほどEVと実際の株式譲渡対価は乖離します。借入が大きい会社では手取りが本ツールの表示より小さくなる傾向があるため、目安としてご利用ください。企業価値の考え方の詳細は企業価値の算定方法ガイドをご覧ください。
次に、譲渡価額からM&A仲介・FA(フィナンシャル・アドバイザー)に支払う成功報酬を差し引きます。本ツールは標準的なレーマン方式(累進料率)を採用し、基準額に対して階層別に料率を掛けて合算します。料率は、5億円以下の部分が5%、5〜10億円が4%、10〜50億円が3%、50〜100億円が2%、100億円超が1%です。計算結果が最低成功報酬(多くの会社で500万〜2,500万円程度、業界の目安は1,000万円前後)を下回る場合は、最低額が適用されます。
仲介(両手)かFA・独立系コンサル(片手)かは、誰が手数料を負担するかに影響します。本ツールでは売主が負担する手数料を差し引く設計とし、片手相当の額を売主負担としています。手数料の仕組みや基準額(株価/企業価値/移動総資産)による違いといった詳細は本ツールの範囲外です。詳しくはM&A手数料の相場とレーマン方式とM&A手数料シミュレーターをご参照ください。
個人が非上場会社の株式をM&Aで譲渡した場合、その譲渡所得は給与など他の所得とは分けて税額を計算する「申告分離課税」の対象になります(非上場株式は「一般株式等」に区分されます)。税率は合計20.315%で、その内訳は所得税15%+復興特別所得税0.315%(=所得税額×2.1%)+住民税5%です。復興特別所得税は2037年分までの時限措置です(出典:国税庁タックスアンサー No.1463)。
課税の対象になるのは譲渡価額そのものではなく、利益部分です。具体的には「譲渡所得等の金額 = 譲渡価額 − 取得費 − 譲渡費用」で計算し、これに20.315%を掛けて税額を求めます。本ツールでは譲渡費用としてM&A手数料(売主負担分)のみを控除する簡略モデルとしています。実務では他の費用も譲渡費用になり得ます。
株式の取得費(買ったときの値段+手数料など)は、設立時から長く保有していたり相続で引き継いだりして不明なことがあります。その場合、取得費を「譲渡収入金額×5%」とみなす概算取得費の特例が認められています(例:3億円で譲渡し取得費不明なら、取得費は1,500万円)。本ツールでは取得費を「実額入力」か「不明(概算5%)」で選べます。ただし実際の取得費が5%より大きい会社では、概算を使うと課税対象が大きくなり不利になります。可能な限り実額の確認をおすすめします(出典:国税庁タックスアンサー No.1464/No.3258)。
株式を保有しているのが個人ではなく法人(持株会社など)の場合、譲渡益は法人の他の所得と合算され、法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税の課税対象になります。国・地方を合わせた法定実効税率は2018年度以降29.74%(2026年度以降、防衛特別法人税の対象法人は30.64%)で、本ツールでは目安として約30%を用います(出典:財務省「法人課税に関する基本的な資料」/国税庁No.5759)。中小法人の軽減税率や赤字の繰越、所得規模により実際の負担は変動します。また法人段階で課税された後、株主個人がそのお金を受け取る際(配当や退職金など)に追加の課税が生じる点にも注意が必要です。本ツールは法人段階の概算のみを計算します。
以上を踏まえ、最終手取りは「譲渡価額(EV)− 売主負担のM&A手数料 − 税額」で算出します。個人株主の場合はこれが株主個人の手取り、法人株主の場合は法人に残るキャッシュ(株主個人への分配前)を表します。企業価値の低位・中位・高位それぞれについて手取りを計算し、レンジで表示します。
オーナー経営者のM&Aでは、譲渡対価の一部を「役員退職金(退職慰労金)」として受け取ることで、全額を株式譲渡対価とするより税負担を抑えられる場合があります。これは退職所得が優遇されているためです。退職所得は「(収入金額 − 退職所得控除額)× 1/2」で計算され、控除に加えてさらに1/2を掛けるため、課税対象が大きく圧縮されます。退職所得控除額は、勤続年数20年以下なら40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超なら800万円+70万円×(勤続年数−20年)です(出典:国税庁タックスアンサー No.1420)。
ただし注意点があります。第一に、役員等としての勤続年数が5年以下の「特定役員退職手当等」には1/2課税が適用されません(控除後の全額が退職所得)。第二に、退職所得には超過累進税率の所得税(+復興特別所得税2.1%)と住民税10%が課されるため、金額が大きいほど税率が上がります。第三に、不相当に高額な退職金は法人側で損金不算入になるなど、金額の妥当性が問われます。これらの理由から、退職金併用が有利かどうかは個別事情で変わります。本ツールでは退職金の具体的な税額計算は行わず、一般論の解説にとどめています。具体的な設計は必ず税理士等にご相談ください。
最終的な税額やスキームの選択(株式譲渡か事業譲渡か、役員退職金を併用するか等)は、会社の財務状況や株主構成によって最適解が異なり、誤った設計は数百万〜数千万円単位で手取りを左右します。本シミュレーターは全体像を素早くつかむための入口であり、実行段階では必ず税理士・公認会計士等の専門家にご確認ください。
当サイトを運営するKI Strategyは独立系コンサルとして、企業価値の算定からスキーム検討、売却プロセスの設計までを支援します(税務の最終判断は提携税理士等の専門家が行います)。具体的な想定価格レンジやスキームのご相談は売り手側支援サービスまたはお問い合わせからどうぞ。
シミュレーション結果はあくまで業界相場の目安です。自社の財務・業種・スキームを踏まえた個別の想定価格レンジ・料金体系・買い手候補は、独立系コンサル・アドバイザリーがご提案します。
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