CONTENTS — このカテゴリの用語(12語)
M&A仲介
えむあんどえーちゅうかい / M&A Brokerage
売り手と買い手の双方の間に立ち、マッチングと交渉を仲介する業者。日本の中小M&A市場の主流形態。両手取引が一般的で、双方代理に伴う利益相反リスクがあるため、中小M&Aガイドライン第3版(2024年改訂)で規律強化された。
「上場M&A仲介各社が中小M&A市場の主要プレイヤー」。
FA(フィナンシャル・アドバイザー)
えふえー / Financial Advisor
M&Aの当事者(売り手または買い手)の片側代理人として、依頼者の利益最大化を専属で支援するアドバイザー。利益相反のない交渉を実現できるが、料率水準は仲介と同等以上になる傾向。証券会社系・銀行系・独立系・外資系投資銀行等がある。
「中堅M&A案件で売り手専属FAを起用、利益相反を回避」。
ブティック型FA
ぶてぃっくがたえふえー / Boutique FA
独立系・小規模のFA。少人数の経験豊富なアドバイザーが、各案件にコミットして高品質な支援を提供するスタイル。大手投資銀行と異なり業務範囲・業種・規模に専門特化することが多い。中堅・中小M&A市場で存在感が増している。
「業種特化型ブティック型FAが、ヘルスケアM&Aで高い実績」。
投資銀行
とうしぎんこう / Investment Bank
大型M&A・IPO・資金調達等を扱う金融機関。日本では証券会社(野村證券・大和証券・SMBC日興等)、外資系(モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス等)がメインプレイヤー。中小M&Aは扱わないことが多いが、大型化や上場企業案件では起用される。
「上場企業同士のM&Aで外資系投資銀行がFAとして関与」。
PEファンド
ぴーいーふぁんど / Private Equity Fund
未公開株式に投資するファンド。中小M&Aの買い手として近年急増。バリューアップ型(経営改善で価値向上)、バイ&ビルド型(連続買収で業界統合)等の戦略を持つ。投資期間典型3〜7年、IRR目標15〜25%程度。
「中堅製造業をPEファンドが買収、5年後のエグジットを目指す」。
ストラテジック・バイヤー
すとらてじっくばいやー / Strategic Buyer
事業シナジーを目的にM&Aを行う事業会社の買い手。同業大手・隣接業種・上場企業・大手企業等。シナジー期待の上乗せにより、フィナンシャル・バイヤーより高い譲渡価額を提示する傾向。
「同業大手のストラテジック・バイヤーがシナジー期待込みの高値オファー」。
認定M&A支援機関
にんていえむあんどえーしえんきかん / Certified M&A Support Institution
中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録された仲介・FA等。事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)の補助対象となる支援機関で、利用するためには認定支援機関の関与が必要。中小M&Aガイドライン第3版の遵守事項を満たすことが登録要件。
「事業承継・M&A補助金活用のため、認定M&A支援機関に業務委託」。
税理士・会計事務所
ぜいりし / Tax Accountant
M&Aで税務スキーム設計・FDD・税務DD・株式評価・申告書作成・事業承継税制申請等を担う専門家。中小企業の顧問税理士は、M&A検討の初期相談相手として最初に接触するケースが多い。M&A専門の税理士法人も増加傾向。
「顧問税理士に事業承継相談、税務スキーム設計を依頼」。
弁護士
べんごし / Lawyer
M&AでLDD・契約書(SPA・APA・LOI・MOU等)作成レビュー・交渉支援・紛争解決を担う専門家。大手企業法務事務所、M&A特化型法律事務所、地域弁護士事務所等がある。中小M&Aでも法的観点での専門家関与は必須。
「弁護士にLDDとSPA交渉のレビューを依頼」。
司法書士
しほうしょし / Judicial Scrivener
株式譲渡後の役員変更登記、合併・会社分割の登記、株主名簿の整備・名義書換等を担う専門家。クロージング前後の登記実務で関与する。商業登記は弁護士でも可能だが、コスト面で司法書士に委託することが多い。
「クロージング後の役員変更登記を司法書士に依頼」。
経営革新等支援機関
けいえいかくしんとうしえんきかん
中小企業経営力強化支援法に基づき認定された支援機関(税理士・弁護士・中小企業診断士・金融機関・商工会議所等)。事業承継・M&A補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金等の公的支援活用時に必要。「M&A支援機関」とは別制度。
「認定支援機関の関与で事業承継・M&A補助金を申請」。
エスクローエージェント
えすくろーえーじぇんと / Escrow Agent
M&Aで譲渡対価の一部を預託管理する第三者機関。信託銀行・弁護士事務所等が担う。買い手の補償回収リスクと売り手のキャッシュ即時受領の利害を調整する。エスクロー残高は補償請求や条件達成に応じて売り手に支払われる。
「信託銀行をエスクローエージェントとして、譲渡対価の10%を1年間預託」。
当事者・関係者 に関するよくある質問
Q.M&A仲介とFAの使い分けは?
案件規模・複雑性・利益相反への許容度で使い分けます。譲渡価額1〜5億円規模の中小M&Aでは、案件マッチングのネットワークを持つ仲介の活用が一般的です。譲渡価額10億円超や、複雑な交渉が想定される案件、利益相反を避けたい案件ではFA起用が推奨されます。仲介の双方代理に伴うリスクは中小M&Aガイドライン第3版で規律強化されましたが、構造的なリスクは残るため、案件特性に応じた選択が必要です。
Q.認定M&A支援機関と経営革新等支援機関の違いは?
「認定M&A支援機関」は中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されたM&A仲介・FA等で、事業承継・M&A補助金の補助対象となります。「認定経営革新等支援機関」は中小企業経営力強化支援法に基づく認定機関(税理士・弁護士・金融機関・商工会議所等)で、ものづくり補助金・IT導入補助金等の公的支援活用時に関与が必要。M&A補助金は前者の関与が必須、その他公的支援は後者の関与が必要、という違いがあります。
Q.PEファンドが買い手となるメリット・デメリットは?
メリットは、(1)経営改善の専門知見、(2)資金調達余力(LBOファイナンス)、(3)経営者保証の引受け対応、(4)IPO等のエグジット支援、等。デメリットは、(1)投資期間(典型3〜7年)後のエグジットで再度オーナー変動、(2)投資リターン重視で短期的利益追求の傾向、(3)経営方針・KPI管理の厳格化、等。長期で安定した事業承継を望む場合はストラテジック・バイヤー、迅速な成長と高いエグジット価値を望む場合はPEファンドが向きます。
監修
今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)
早稲田大学政治経済学部卒。野村総合研究所を経て、2016年に株式会社KI Strategyを設立。M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス(BDD/ITDD)、PMI支援を専門とする。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。
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