1. 不動産M&Aとは?2025年に注目される理由
「不動産M&A」という言葉は、実務上2つの異なる意味で使われます。本ガイドでは両者を整理した上で、不動産業界特有のM&Aスキーム・税務・実務を網羅的に解説します。
2つの意味
- 意味①: 不動産業者の事業承継・売却M&A — 宅地建物取引業者・賃貸管理会社・売買仲介会社・不動産デベロッパー等が、株式譲渡や事業譲渡により会社・事業を他社に承継するスキーム。後継者不在対応の主流選択肢。
- 意味②: 不動産取得を目的としたM&A — 不動産を保有する会社の株式を譲り受けることで、不動産そのものを実質的に取得するスキーム。通常の不動産売買と比べて不動産取得税・登録免許税・消費税の負担が軽減されるメリットがある。
本ガイドは、特に 意味①の不動産業者の事業承継M&A に焦点を当てつつ、意味②のスキームメリットも適宜解説します。
2025年に注目される背景
- 不動産業の後継者不在率は2024年52.9%(帝国データバンク)と建設業・サービス業と並ぶ高水準。賃貸管理・売買仲介の中小・小規模事業者で特に深刻。
- 千葉県では不動産業のみで64.2%(2025年)と全国突出の水準で、首都圏でも承継ニーズが顕在化。
- 2025年は事業承継の主役が「同族承継32.3%」から「内部昇格36.1%」へ転換した「脱ファミリー経営元年」(TDB2025速報値)。第三者承継M&Aの存在感が増大。
- 東京・首都圏の不動産価格上昇により、不動産保有会社のM&Aバリュエーション向上。
- 中小企業等経営強化法・事業承継M&A補助金14次/15次など、不動産M&Aを後押しする公的支援が整備済み。
出典: 帝国データバンク「全国 後継者不在率動向調査(2025年)」、令和3年経済センサス
2. 不動産M&A 3つのスキーム(株式譲渡・事業譲渡・会社分割)
不動産M&Aで採用される代表的なスキームは 株式譲渡・事業譲渡・会社分割 の3つです。それぞれ手続き・税務・宅建業免許の継承可否が大きく異なるため、目的に応じた選択が必要です。
| 項目 | 株式譲渡 | 事業譲渡 | 会社分割 |
| 譲渡対象 | 株式(会社丸ごと) | 事業(資産・契約を個別承継) | 事業部門(新設会社へ移管後株式譲渡) |
| 宅建業免許 | そのまま継続 | 失効・新規取得必要 | 新設会社で新規取得 |
| 簿外債務リスク | 引継ぐ(DD必須) | 限定的(必要な事業のみ) | 分割範囲のみ |
| 不動産取得税 | 発生せず | 発生(軽減措置あり) | 適格分割なら免税 |
| 登録免許税 | 株式譲渡では発生せず | 2.0%(軽減で1.5%) | 適格分割で軽減 |
| 消費税 | 非課税 | 建物・備品は課税 | 適格分割は非課税 |
| 売却側 課税 | 個人株主20.315%(分離課税) | 法人税最大約34% | 株式譲渡型と同様 |
| 従業員雇用 | 自動承継 | 個別同意で再契約 | 原則承継(簡素) |
| 手続き期間 | 最短3〜6ヶ月 | 6〜12ヶ月 | 9〜12ヶ月 |
| 適しているケース | 会社ごと譲渡・宅建業継続 | 事業の一部のみ譲渡・簿外債務回避 | 不動産部門のみ切り出し |
出典: M&Aキャピタルパートナーズ「M&A税務」、山田コンサルティング「事業譲渡とは」を基に整理
中小M&Aで最も選ばれるのは「株式譲渡」
中小企業の不動産M&Aでは 株式譲渡が最も一般的 です。理由は①手続きが比較的簡便(個別契約の再締結不要)②宅建業免許がそのまま継続 ③不動産取得税・登録免許税・消費税が発生しない節税効果 ④個人株主の譲渡所得が20.315%の申告分離課税で確定する点。一方、譲受側にとっては 簿外債務リスク(敷金返還義務・係争中の案件・税務リスク等)を引き継ぐため、徹底したデューデリジェンスが必須となります。
事業譲渡が選ばれるケース
譲受側が簿外債務リスクを限定したい、譲渡側が一部の不採算事業を残したまま中核事業のみ売却したい場合は事業譲渡が選ばれます。ただし宅建業免許は譲渡できないため、譲受会社が新規取得する必要があり、譲渡完了までのリードタイムが長くなる点に注意が必要です。
会社分割が選ばれるケース
不動産業と他事業(建設業・賃貸業・サービス業等)を兼業している会社で、不動産部門のみ切り離して譲渡したいケースで活用されます。新設分割→株式譲渡のスキームにより、税制適格要件を満たせば不動産取得税も非課税となります。
3. 宅建業免許の取り扱い(重要論点)
不動産M&Aで最も注意すべき論点が 宅地建物取引業免許の継承 です。免許の取り扱いはスキームにより全く異なり、譲渡スキーム選択の決定打となります。
原則: 宅建業免許は譲渡・承継できない(一身専属性)
宅地建物取引業法上、宅建業免許は法人または個人に対して一身専属的に付与され、譲渡・相続の対象になりません。事業譲渡では譲渡会社の免許は失効し、譲受会社は新規取得が必要です。
株式譲渡なら法人格継続で免許も継続
株式譲渡では会社(法人格)そのものが継続するため、その法人が保有していた宅建業免許もそのまま継続します。ただし以下の変更届が必要です:
- 役員変更届 — 代表取締役・取締役が変更になる場合
- 専任宅地建物取引士の変更届 — 専任の取引士が交代する場合(事務所単位で1名以上必須)
- 政令使用人の変更届 — 支店長等の変更
- 事務所所在地変更届 — 本店・支店の移転
事業譲渡では新規免許取得が必要
事業譲渡スキームでは、譲渡会社の宅建業免許は事業譲渡完了後に効力を失います。譲受会社が宅建業を継続する場合は、新規免許取得が必要です。
- 都道府県知事免許(事業所が1都道府県内)— 申請から免許取得まで約30〜40日
- 国土交通大臣免許(複数都道府県にまたがる)— 約3ヶ月
事業譲渡スキームを採用する場合は、譲渡実行日と免許取得スケジュールを逆算し、譲渡実行前から免許申請を進めることが実務上必須です。最低でも譲渡実行の2〜3ヶ月前から免許申請の準備を開始する必要があります。
出典: 国土交通省「宅地建物取引業法」、宅建免許申請代行センター解説
4. 不動産M&Aのバリュエーション(評価方法)
不動産業のM&Aでは、業態(仲介業/賃貸管理/不動産保有/デベロッパー)により評価方法が大きく異なります。一般的なM&Aで用いられるEV/EBITDA倍率法に加え、不動産業特有のレントロール分析・修正純資産法が組み合わされます。
業態別の評価方法
| 業態 | 主要な評価方法 | EV/EBITDA倍率の目安 |
| 不動産仲介業(売買・賃貸仲介) | EV/EBITDA倍率法/年買法 | 5〜15倍 |
| 賃貸管理業 | レントロール分析+EV/EBITDA | 5〜10倍 |
| 不動産保有会社 | 修正純資産法+のれん | 不動産時価依存 |
| 不動産デベロッパー | DCF法/プロジェクト個別評価 | 事業計画依存 |
EV/EBITDA倍率法(仲介業の標準)
不動産仲介業では、営業利益+減価償却費(EBITDA)に業界倍率を掛けて事業価値(EV)を算出するEV/EBITDA倍率法が一般的です。不動産仲介業のマルチプル目安は PBR 1.2〜2.5倍・PER 10〜50倍・EV/EBITDA 5〜15倍 とされており、顧客基盤の強さ・取引先関係・営業エリアの優位性によりレンジが変動します。
レントロール分析(賃貸管理業の必須プロセス)
賃貸管理業のM&Aでは、管理物件の レントロール(rent roll = 賃貸借契約一覧) 分析が評価の核心です。物件ごとの賃料・契約期間・空室率・敷金/保証金の状況を精査し、将来キャッシュフローを推定します。チェック項目:
- 賃料水準の市場性(周辺相場との乖離)
- 契約満了スケジュール(再契約率・賃料更新条件)
- 滞納状況・回収可能性
- 敷金・保証金の預かり残高と返還義務
- 大型テナント依存度(特定テナント比率)
修正純資産法(不動産保有会社の中心)
不動産保有会社のM&Aでは、保有不動産を時価評価した 修正純資産 に営業利益2〜5年分の「のれん」を加算する方法が中心です。土地・建物の含み益(簿価と時価の差額)が評価額に大きく影響するため、不動産鑑定士による評価が必須となります。意味②の不動産取得型M&Aでは、この修正純資産がそのまま実質的な不動産価格となります。
出典: 岸田康雄税理士事務所「不動産仲介業界のM&A」、株式会社STRコンサルティング
5. 不動産M&A特有のデューデリジェンス7項目
不動産M&Aのデューデリジェンスは、通常のM&AにおけるDD項目(財務・税務・法務・人事・ビジネス)に加え、不動産業界特有の専門領域を含みます。以下の7項目は不動産M&Aで特に重要です。
- 不動産権利関係DD — 所有不動産・賃借不動産の権利関係、地上権・地役権・抵当権の状況、地主・賃借人との契約条件、敷金・保証金の返還義務。登記簿謄本・契約書・実測図と現況の整合性を確認。
- 宅建主任者の継承可能性 — 専任の宅地建物取引士が譲渡後も在籍するか、退職予定者がいる場合は代替人材の確保可能性。各事務所に1名以上必須のため、欠員は宅建業免許失効リスクに直結。
- 管理物件のオペレーション継続性 — 賃貸管理業の場合、管理委託契約の継続条件、入居者・オーナーとの関係性、外部委託先(清掃・原状回復業者等)との契約状況。
- レントロール正確性とキャッシュフロー検証 — レントロール記載の賃料・契約条件と実際の入金・契約書との整合性確認。経営者個人名義の契約や帳簿外取引の有無も精査。
- 土地利用規制の確認 — 都市計画法上の用途地域・容積率・建蔽率、農地法・農業振興地域指定、市街化調整区域、特別法(文化財保護法等)による制限。将来の開発可能性に直接影響。
- 環境調査(土壌・建物) — 土壌汚染対策法に基づく土壌調査履歴、アスベスト含有資材の有無、PCB含有設備、地下タンク等。修繕・除去コストはM&A価格交渉の重要要素。
- 簿外債務・偶発債務 — 敷金・保証金返還義務、修繕積立金の未積立、係争中の案件(瑕疵担保・賃料減額・退去交渉等)、保証契約・債務保証の有無。
不動産M&AのDDには、不動産鑑定士・一級建築士・宅建実務経験者・税理士・弁護士の協働が不可欠です。DD費用は対象規模に応じて 200万〜2,000万円 規模となるのが一般的です。
6. 税務メリット(株式譲渡 vs 事業譲渡 vs 経営強化法)
不動産M&Aでは、スキーム選択により売り手・買い手それぞれの税負担が大きく異なります。最適なスキーム設計には税理士とM&Aアドバイザーの協働が不可欠です。
売り手側の税務
| スキーム | 課税対象 | 税率 |
| 株式譲渡(個人株主) | 株式譲渡益(譲渡対価 - 取得費 - 必要経費) | 20.315%(所得税15.315%+住民税5%、申告分離) |
| 事業譲渡 | 譲渡益(譲渡対価 - 譲渡資産簿価) | 法人税等 約34%(法人実効税率)+消費税 |
| 会社分割(適格分割) | 譲渡時点では非課税、株式譲渡時に課税 | 株式譲渡時 20.315% |
個人株主による株式譲渡が、税務面では最も有利です。同じ売却価格でも、株式譲渡なら手取りが 事業譲渡比で約14ポイント有利 になる計算です。
買い手側の税務(中小企業等経営強化法の活用)
事業譲渡で不動産を取得する場合、買い手側には 不動産取得税・登録免許税・印紙税 等の流通税が発生します。ただし、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けた場合、以下の軽減措置が適用されます:
- 不動産取得税: 土地について課税標準の1/6を控除
- 登録免許税: 税率を通常2.0%→1.5%に軽減
- 所得拡大促進税制との併用も可能
一方、株式譲渡では不動産取得税・登録免許税・消費税のいずれも発生しないため、買い手側にとっても税務メリットが大きい選択肢となります。
出典: 国税庁、中小企業庁「中小企業等経営強化法」、M&Aキャピタルパートナーズ「会社売却税金」
7. 不動産業の事業承継動向(2025年最新)
不動産業界の後継者不在問題は、業界全体の構造的課題となっています。経済センサスと帝国データバンク調査から最新動向を整理します。
不動産業の市場規模
全国の不動産業は法人数約 34万社(経済センサス令和3年)、宅建業免許保有業者数は 約12.7万事業者(国土交通省2024年)。従業者数は約160万人。地域別では首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)に約4割が集中する一方、全国津々浦々に地域密着型の小規模事業者が存在しています。
不動産業の後継者不在率(業界平均と地域差)
- 不動産業全体: 約52.9%(2024年、建設業・サービス業と並ぶ高水準)
- 千葉県の不動産業: 64.2%(2025年、県全体40.4%の1.5倍以上)
- 首都圏(東京・神奈川・埼玉)の不動産業: 60%超(地域業界調査)
- 賃貸管理業・売買仲介業の小規模事業者(従業員1〜4人)で特に深刻
2025年の動向で特筆すべきは、不動産業者間のM&Aだけでなく、異業種からの不動産業買収(建設会社・地域金融機関・ファンドによる買収)も増加していることです。地域インフラ維持の観点から、自治体・地銀が関与するマッチング事例も報告されています。
出典: 国土交通省「不動産業統計集2025」、帝国データバンク「全国 後継者不在率動向調査(2025年)」、令和3年経済センサス
8. 不動産M&Aを進める7ステップ
不動産M&Aを成功させる標準的なプロセスは以下の7ステップです。準備開始から成約まで通常 6〜12ヶ月、複雑なケースでは1年半〜2年を要することもあります。
- STEP 1: 現状把握と方針決定(1〜2ヶ月) — 自社の財務・宅建業免許状況・不動産権利関係・株主構成を整理。譲渡目的・希望条件(譲渡価格レンジ・雇用継続・地域への影響等)を明確化。
- STEP 2: M&Aアドバイザー選定(2週間〜1ヶ月) — 不動産業に詳しい仲介会社、または独立系コンサルティング会社/FA(独立アドバイザー)と面談。料金体系・実績・業界理解度で比較選定。仲介は双方代理が一般的なのに対し、独立系コンサル・FAは売り手or買い手のいずれか一方の専任支援を提供。
- STEP 3: 企業価値評価とIM作成(1〜2ヶ月) — 簡易バリュエーションで譲渡価格レンジを推定。IM(Information Memorandum)を作成し、買い手候補に提示する自社の事業概要・財務情報・強みをまとめる。
- STEP 4: 買い手探索とロングリスト作成(2〜3ヶ月) — 同業者・隣接業種・ファンド・地域企業から数十社の買い手候補を抽出。ノンネームシート(匿名)で打診し、興味を示した候補とNDA締結後にIM開示。
- STEP 5: トップ面談と基本合意(1〜2ヶ月) — 有力候補とトップ面談を実施し、譲渡価格・スキーム・条件の基本合意(LOI/MOU)を締結。独占交渉権付与。
- STEP 6: デューデリジェンスと最終契約(2〜3ヶ月) — 買い手による財務・税務・法務・ビジネス・不動産の各種DD実施。発見事項を反映した最終条件で 株式譲渡契約書(SPA) または 事業譲渡契約書 を締結。
- STEP 7: クロージングとPMI(1〜3ヶ月) — 株式譲渡・対価支払い・経営権移転を実行。譲渡後3〜12ヶ月のPMI(Post-Merger Integration)で組織統合・オペレーション整備。
9. 業種別 不動産M&A
賃貸管理業のM&A
賃貸管理業の評価はレントロール・管理戸数・管理料率が核心です。譲渡側の特徴:①継続的なキャッシュフロー(管理料収入)が価値の根幹 ②オーナーとの長期信頼関係 ③オペレーション人材(管理スタッフ)の継承。譲受側にとっては、地域シェア拡大・管理戸数積み上げによるスケールメリットを狙う買収が中心です。EV/EBITDA 5〜10倍 が目安。
不動産仲介業(売買・賃貸)のM&A
仲介業は手数料収入が中心の労働集約型ビジネス。営業エリア・顧客基盤・営業人材の継続性が評価の鍵です。譲受側は地域進出・顧客基盤獲得を目的とすることが多く、譲渡側経営者がアドバイザー契約で一定期間残るケースが標準。EV/EBITDA 5〜15倍。
不動産デベロッパー(開発・分譲)のM&A
デベロッパーは仕入・開発・販売の長期サイクル型で、評価は個別プロジェクトのDCFが中心。在庫不動産・仕掛中プロジェクト・将来の仕入予定地(用地ストック)が評価対象。中小デベロッパーでは経営者個人の地主ネットワークが事業価値の中核。事業譲渡または会社分割でプロジェクト単位の譲渡も多い。
不動産保有会社のM&A(不動産取得目的)
保有不動産の取得を目的としたM&Aは、通常の不動産売買と比較して以下のメリットがあります:①不動産取得税・登録免許税の節税 ②消費税非課税 ③一括取得の効率性 ④保有会社のテナント契約・賃料収入もそのまま継承。一方、対象会社の簿外債務リスクは引き継ぐため、徹底したDDが必須です。
10. 都道府県別 不動産M&A動向
不動産M&Aの実態は都道府県ごとに大きく異なります。当サイトでは47都道府県すべての地域動向ページを掲載しており、不動産業特集を含む県もあります。
主要県の不動産M&A特集
その他の都道府県は 都道府県一覧 から各地域ページにアクセスできます。
11. 公的支援・補助金活用
不動産M&Aでは複数の公的支援を活用できます。M&A実行コスト・税負担の軽減に直結するため、初期段階から制度活用を前提に設計することが推奨されます。
事業承継・M&A補助金(中小企業庁)
M&A実行費用(仲介手数料・FA費用・DD費用・PMI費用等)の最大 600万円 が補助されます。2025年は14次・15次公募が進行中。申請にはM&Aアドバイザー・認定支援機関の関与が必要です。専門家活用枠・経営革新枠・廃業再チャレンジ枠の3類型から選択。
中小企業等経営強化法による税制優遇
「経営力向上計画」の認定を受けた場合、買い手側は不動産取得税の課税標準1/6控除、登録免許税の税率軽減(2.0%→1.5%)等の軽減措置を受けられます。譲渡実行前の事前認定が必要です。
事業承継・引継ぎ支援センター(全47都道府県・無料)
中小企業庁・中小機構が運営する公的相談窓口。不動産業の事業承継も対象。コーディネーター派遣・買い手とのマッチング・専門家紹介まで全て無料で対応します。本格的なFA支援は別途必要ですが、初期相談・公的支援活用に有効です。
地域金融機関のM&A支援
地方銀行・信用金庫・商工中金等では、不動産業M&Aのファイナンス(買収ローン・MBOファイナンス)と仲介サービスを提供しています。取引銀行への早期相談が事業承継準備の第一歩です。
12. KI Strategy のアプローチ
本サイト「事業承継M&A調査君(chosakun.com)」は、株式会社KI Strategy が運営しています。同社は独立系コンサルティング会社として、M&Aアドバイザリー(買い手側/売り手側)に加え、デューデリジェンス(BDD/ITDD)、PMI、IM作成・セカンドオピニオン、事業計画策定までを一気通貫で提供。不動産業を含む幅広い業種で売り手・買い手双方の支援実績を有します。
不動産M&Aにおける独立系コンサルの価値
不動産M&Aでは仲介会社(双方代理)が多く存在しますが、売り手・買い手の利益が必ずしも一致しない局面では、独立系コンサル・FA(一方の立場に立つ専任アドバイザー) が利益相反なく最適な譲渡条件を交渉できます。さらに KI Strategy のような独立系コンサルティング会社は、単なる取引仲立ち(FA機能)を超えて、評価・DD・PMI・事業計画まで踏み込んだ実行支援を提供できる点が強みです:
- 不動産業特化のDD(権利関係・レントロール・宅建免許継承等)
- 業界横断の買い手ネットワーク(同業者・PE・地域金融機関等)
- 税務最適スキームの設計(株式譲渡 vs 事業譲渡 vs 会社分割)
- PMI支援(譲渡後の組織統合・オペレーション安定化)
以上の領域を一気通貫でカバーします。代表の 今井 健太郎 は大手シンクタンクでの経験を経て2016年に同社を設立、半導体・ソフトウェア・製造業・医療・建設業など幅広い業種でDD・PMI実績を有します。
13. よくある質問(FAQ)
Q.不動産M&Aとは何ですか?通常の不動産売買との違いは?
不動産M&Aには2つの意味があります。①不動産業者(宅建業者・賃貸管理会社・仲介会社等)の株式譲渡や事業譲渡による事業承継 ②不動産を保有する会社の株式を譲渡することで実質的に不動産を取得するスキーム。通常の不動産売買と異なり、株式譲渡の場合は不動産取得税・登録免許税が発生せず、消費税も非課税となる節税効果があります。事業承継として進める場合は、宅建業免許・賃貸管理ノウハウ・取引先関係なども継承対象になります。
Q.不動産M&Aで使われる3つのスキームの違いは?
主要3スキームは①株式譲渡(最も一般的、会社ごと売買、宅建業免許も継続)②事業譲渡(特定事業のみを切り出して譲渡、簿外債務リスクを限定)③会社分割(不動産部門だけを新設会社に分離して譲渡)です。中小M&Aでは手続きの簡便さと税務メリットから株式譲渡が選ばれることが最も多く、簿外債務懸念が強い場合は事業譲渡、不動産だけ分離したい場合は会社分割を活用します。
Q.株式譲渡なら宅建業免許も自動的に引き継がれますか?
株式譲渡では会社(法人格)が継続するため、その法人が保有していた宅建業免許もそのまま継続します。ただし、役員変更・専任の宅地建物取引士の交代があれば変更届の提出が必要です。一方、事業譲渡では譲渡会社の宅建業免許は事業譲渡後に効力を失い、譲受会社は新規に免許取得が必要です。都道府県知事免許で30〜40日、国土交通大臣免許で約3ヶ月かかるため、事業譲渡スキームでは免許取得スケジュールを逆算した進行が重要です。
Q.不動産M&Aの評価はどのように行われますか?
不動産仲介・賃貸管理業のM&AではEV/EBITDA倍率法(5〜15倍)がよく使われます。不動産保有会社の場合は、保有不動産の時価評価を加味した「修正純資産法+のれん(営業利益2〜5年分)」が中心。賃貸管理業ではレントロール(賃貸借契約一覧)に基づくキャッシュフロー分析、不動産売買業では仕入・販売サイクルと在庫評価が評価の起点となります。中小M&Aでは年買法(時価純資産+営業利益×3〜5年)も併用されます。当サイトの
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Q.不動産M&A特有のデューデリジェンスは何ですか?
不動産M&AのDDでは以下が特に重要です。①権利関係(地主・賃借人との契約条件、敷金・保証金返還義務)②宅建主任者の継承可能性 ③管理物件のオペレーション継続性 ④レントロール正確性とキャッシュフロー検証 ⑤土地の利用規制(都市計画・農地・調整区域・特別法)⑥環境調査(土壌汚染・アスベスト等)⑦簿外債務(敷金返還・修繕積立金・係争中の案件)。通常のM&Aより不動産専門の調査範囲が広く、不動産鑑定士・宅建実務経験者の協力が必須です。
Q.不動産M&Aの税務メリットは?
売り手側のメリットは①個人株主の株式譲渡益が申告分離課税20.315%で確定(事業譲渡は法人税最大約34%)②不動産取得税・登録免許税の節税(株式譲渡では発生せず)③消費税非課税。買い手側のメリットは①中小企業等経営強化法の活用で不動産取得税が課税標準1/6控除、登録免許税が2%→1.5%へ軽減 ②事業承継・M&A補助金で専門家活用費の補助。これらを最適化するスキーム設計には税理士・FA協働が不可欠です。
Q.宅建業免許なしで不動産を売買できますか?
宅建業免許が必要な行為は「不動産取引を業として反復継続する」場合です。自社保有不動産を1回限り売却するケースや、不動産M&A(会社丸ごと譲渡)は宅建業免許不要です。ただし、複数物件の継続的な売買、他者の不動産売買仲介・代理は宅建業免許が必要となります。M&Aスキーム選択時は、譲渡後の事業継続形態に応じた免許要否の判定が必要です。
Q.不動産業の後継者不在問題はどれくらい深刻ですか?
不動産業の後継者不在率は全国52.9%(2024年)と建設業・サービス業と並ぶ高水準で、特に首都圏では地域により60%超に達します。千葉県では不動産業のみで64.2%(2025年)。賃貸管理業・売買仲介業の中小・小規模事業者では、従業員1〜4人の小規模経営が多く、経営者の高齢化と後継者人材の不在が深刻です。第三者承継M&Aは、不動産業の人材確保と事業継続の両面で有効な解決策となっています。詳細は
後継者不在の解決方法もご参照ください。
Q.不動産M&Aの相場・成約事例はどこで確認できますか?
①バトンズ・トランビ・relay等のM&Aマッチングプラットフォーム ②日本M&Aセンター・M&A総合研究所等の業界レポート ③MARR Online・レコフ等のM&A専門メディア ④事業承継・引継ぎ支援センターの匿名成約事例 ⑤当サイトの
都道府県別ページで地域M&A実績 が確認できます。中小M&Aの成約金額は非公開が多いため、業界相場レンジでの把握が中心となります。
Q.不動産M&Aで活用できる補助金は?
①事業承継・M&A補助金(中小企業庁)の専門家活用枠で仲介手数料・DD費用の最大600万円補助 ②中小企業等経営強化法による不動産取得税1/6控除・登録免許税0.5%軽減 ③地域経済牽引事業計画による法人税軽減 ④事業引継ぎ支援センターの無料コーディネーター派遣 など複数活用可能です。14次・15次公募が進行中で、KI Strategy等のM&Aアドバイザーは申請支援も対応しています。
監修
今井 健太郎(株式会社KI Strategy 代表取締役)
早稲田大学政治経済学部卒。野村総合研究所を経て、2016年に株式会社KI Strategyを設立。M&Aアドバイザリー、デューデリジェンス(BDD/ITDD)、PMI支援を専門とする。情報経営イノベーション専門職大学(iU)客員教授。
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